ベンジルイソプロペニルエーテル2をモデル基質として不斉リガンド・ブチルリチウム錯体による不斉2、3転位反応を検討した。種々の不斉ジアミン、ジエーテル、アミノアルコールを合成し、不斉反応に適用したところ、アミノエーテル1が目的の転位体を68%収率、37%eeで与えることを見い出した。さらに基質のスクリーニングを行ったところ、プロパルギルエーテル誘導体が最も良い結果を与え、4aからは51%収率、62%eeで対応する転位体5aが得られた。鎖状化合物を基質としたエナンチオ選択的不斉2、3転位反応としては現在知られている最高のエナンチオ選択性を示している。転位体5は分子内にアレン、アセチレン、アルコールを持ち合わせる高度に官能基化された化合物で、複雑な光学活性化合物の有用なキラルシントンとなりうる。不斉誘起のメカニズムはプロパルギル位のエナンチオトピックな二つの水素を識別した不斉脱プロトン化に由来すると考えられる。
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