助産婦の燃えつき症候群にいたる要因とその過程を明らかにすることを目的に郵送法による質問紙調査、および電話による面接調査を行った。 質問紙調査の対象は、東京、仙台の国立および公的助産婦学校の卒後5、6年目の就業助産婦117名で、調査内容は、現在の職場環境、勤務内容、仕事への意識、燃えつき傾向、家庭環境、ソーシャルサポートなどである。面接調査の対象は、質問紙調査の対象から燃えつき徴候およびり燃えつき者で、調査の承諾が得られた者13名で、内容は燃えつきに陥る前後の本人の仕事に対する気持ちの変化や環境の変化に関して自由に話す形式とした。 質問紙調査の回収数は96(82%)だった。対象は病院勤務者が70名(73%)と最も多く、勤務部門は産科、産婦人科病棟が43名(45%)、ついで産科以外の病棟勤務者が19名(20%)と多かった。また、既婚者が55名(57%)、内42名が子供をもっていた。燃えつき者は11名(13%)、燃えつき徴候者は45名(51%)認められた。燃えつき傾向はソーシャルサポート得点が低いほど有意に高いことが認められた。 面接調査の結果、燃えつきにいたる直接の契機に配置転換が認められた。また、燃えつきにいたる慢性的なストレス要因として、仕事内容があげられ、助産婦かつ看護婦として多岐に渡る多くの業務を負荷される、逆に分娩介助のみを流れ作業のようにまかされ、業務上のひろがりがもてないという二つの傾向が認められた。結婚や育児という私生活のストレスは大きな要因として認められなかった。 看護職としての能力拡大にための配置転換のありかた、助産婦の専門性と看護婦としての役割期待を現場で上司(婦長、主任級)がいかに活用できるかなど、助産婦の燃えつきには人的な管理上の問題が大きいことが示唆された。
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