1.目的:医療処置を伴う在宅療養患者、今回は特に在宅酸素療法(以下HOT)患者に焦点を当て、日常生活度分類(厚生省)を用いて在宅医療の拘束による寝たきり化の予防方策を検討する。 2.方法:当院管理中の成人・老人HOT患者16例(男性9例56.3%、女性7例43.8%)に家庭訪問を各2回ずつ行い、酸素飽和度(以下Spo_2)測定・生活とQOL調査・聞き取り調査・観察等を行った。 結果:1)対象の日常生活自立度-「ランクJJ」18.8%、「ランクJ-8」18.8%、「ランクJ-7」25.0%、「ランクA-6」12.5%、「ランクA-5」18.8%、「ランクB-4」6.3%で、「ランクC(寝たきり)」の者はいなかった。 2)「ランクJJ・J」「ランクA・B」群間の比較-外出可能な「ランクJJ・J」群(N=10)と、寝たきり予備群の「ランクA・B」群(N=6)に分け、訪問時及びカルテから収集した全データをt検定及びX^2検定を用いて(有意水準5%未満)比較した。自立度がより低いことに関係した変数は「性別(女性)」、「日常生活での階段移動なし」、「Spo_2平均95.6%」、「日中Spo_290%以下の時間11%程度」、「握力低い」、「調査日歩数少ない」、「消費Cal少ない」、「体重少ない」、「Vcp2.17L」、「Hb12.3mg/dl」、「Ht36.9%」、「長生きできる可能性、余暇活動及び旅行能力の満足度が低い」、「仕事や職業の重要度が低い」、「幸福な老後に対する重要度が低い」ことであった。酸素使用時間や生活時間、家族構成などには差がみられなかった。 考察:以上から、医療処置特に、酸素吸入を在宅で行う患者の寝たきりを防ぐ方策として、(1)身体的には、ヘモグロビン・体重を指標にした栄養状態の維持・低下予防の管理、肺活量・握力・一日歩行数を指標にした在宅での呼吸筋トレーニング及び肺理学療法の実施、酸素飽和度の低下を防ぐ動作方法の患者家族教育、(2)心理的には、HOT患者自身が幸福感をのもち前向きに過ごせるような援助、(3)社会的には、満足した余暇を過ごすための地域サービスシステム作りと遠方旅行時の酸素供給体制が特に重要であると示唆された。
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