研究概要 |
本研究は,地理学習を支援する知的CAIシステムの開発を目的としている.本年度は,教授部分を中心に,プロトタイプシステムの開発を進めた.我々は,地理の演習問題を用いた学習を取り扱った.このような学習では,学習者に自分が解いた問題の解法過程を説明させることは,よく行なわれる.我々のシステムも,学習者が解法過程を説明する環境を提供する. 自己説明を利用する理由は,自己説明の持つ副作用を積極的に利用するためである.我々は,他者に何らかの情報を伝達するために,説明という手段を用いる.しかし,説明したことにより,説明した対象の理解を深めることが出来る.地理の演習問題を解くことは,手続き的な問題解決を行なっていると考え,自己説明により問題解決過程の理解を深めることが可能であると考えている.そこで,システムと学習者の対話が,学習者からの説明となるようなインタフェイスを設計し実装した.システムに対して学習者は,解法過程を繰り返し説明する事により,問題解決過程の理解を深めることができる. また,解法過程を学習者に自己説明させる環境は,システムにとって学習者の状態を把握する観点からも有用である.学習者との対話の設計に大きなコストを割くことなく,比較的スムーズに学習者から解法過程を取り込むことが可能になる.取り込まれた,解法過程は,システムの内部で学習者モデルとして表現され,評価され,教授が行なわれる. 今回のプロトタイプシステムは,説明取り込みのインタフェイスと,説明に基づく教授の部分を中心に開発を行なった.我々のシステムでは,学習者が説明を行ない,そして説明に基づいて教授が行なわれる.今回のインタフェイスは,予め用意したテンプレートに依存する部分が大きいため,今後は学習者の自由度を上げる必要があることが分かった.そこで,説明の支援という点からも,インタフェイスの改良を進める予定である.
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