1.ソフトウェアを用いた教育は、自然言語や一部の分野において低学年生を対象に既に実用化されているが、データ解析を含む統計科学教育のためのソフトウェアの実用化はほとんど行われていなかった。そこで、本研究では、種々の数学的条件、仮定下で統計グラフを含む統計的解析法の性質について研究を行い、正しい標準的なデータ解析および誤ったデータ解析の事例データベースを利用した統計チューターシステムの構築のための基礎を築いた。以下に、主な研究内容を示す。 (1)統計的推測法では、点推定、区間推定、仮説検定、検出力などの概念や計算法について、より容易な意味理解のためにモンテカルロ法による表現法の研究を行った。 (2)統計グラフでは、ヒストグラムにおけるクラス数や端点、などの作図パラメータ変更にともなう平均、分散、歪度、尖度などの統計量および形状の変化が動的に表示可能なヒストグラム行列を作図するS言語関数の作成を行った。 (3)統計的解析法では、誤ったデータ解析の一つの事例として、血圧値の年齢への単回帰分析において異常な60歳の血圧値の予測により、回帰分析を適用した予測の留意点を示した。 2.現在、本研究で作成された事例データの体系化およびそれらのマルチメディアに対応した統計チューターシステムとしてのシステム化の研究を進めている。 3.本研究の成果は、Asian Conference on Statistical Computing において公表された。
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