本研究では、タスク明確な存在を前提として環境表現の獲得方法、利用方法について考察することを目的としてきた。具体的には、どのようにしてタスクに応じた環境表現を作成するか、タスクが変わったとき環境の表現方法も変更すべきであるが、そのメカニズムをどのように実現するか、さらにそれら環境表現の(grain scale)をどのように決定するかといった問題に対し、何らかの解答を与えることが目的であった。 まず、ロボットの具体的のタスクとして、ロボットは、環境を観測し、環境内から特徴的な物体を選出する。選出された物体により表現された地図をもとに人間のオペレータが特定の物体を指定する。ロボットは指定された物体を、得られた地図をもとに探索しながら、その物体の近傍まで移動を行う。というロボットの一連の行動を想定した。このタスクに対し、用意した環境の表現は、研究代表者が以前より研究してきた、全方位の視覚情報をもとにしたパノラマ表現と、ロボットの移動中に観測される経路パノラマ表現の2種類である。本研究の成果としては、ロボットがこの2種類の環境表現をロボットの状態と環境の観測結果に応じて使い分けながら、上記のタスクを効率よく達成することを実験により確認した。詳しくは、本報告書の研究発表の項目に記載されている論文で述べている。 今後の課題としては、本研究で取り上げた2種類のパノラマ表現以外の表現の利用について考察することと、環境表現の粒度に関するさらなる考察を行うことである。
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