研究課題/領域番号 |
05858056
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
情報システム学(含情報図書館学)
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研究機関 | 図書館情報大学 |
研究代表者 |
武者小路 澄子 図書館情報大学, 図書館情報学部, 助手 (00241836)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1993年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 科学情報 / 科学文献 / 知識化 / 医学情報 / 医学文献 / 情報メディア / 抄録 / エンドセリン |
研究概要 |
科学の研究成果を発表する科学文献で提示されている「科学情報」が、実際にどのような過程を経て「専門知識」として成立していくかを研究するために、科学文献の分析に基づく「科学情報の伝達」を捉えるための研究枠組みを検討し、科学文献の分析とその著者らへのインタビューに基づく調査を行った。研究は、具体的には、次のように進めた。 1)科学社会学、科学知識の社会学、テクスト理論、記号論、言語哲学の枠組みから「科学情報」や科学のテクストについてどのような捉え方ができるのかを吟味し、本研究の枠組みを構築した。 2)筑波大学基礎医学系を中心としたエンドセリン研究を事例として、エンドセリン研究に関する原著論文とその著者抄録を対象とした分析を行った。1988年から1994年に筑波大学の研究者によって発表された論文を収集した。その内から原著論文とその著者抄録を対象とし、それらの表現をイメージスキャナで入力し、パーソナル・コンピュータ上で命題分析、言語学的分析(モダリティ=科学の事実の提示のされ方、ダイクシス=テクストの時空的な位置づけ)、スタイルの分析を行い、両者を比較した。 3)筑波大学基礎医学系のエンドセリン研究者へインタビューを依頼し、「エンドセリンの発見」が成立する機構、研究活動から主要な論文が発表される過程、論文中の図表が研究として提示すること、論文と抄録の表現上の差異と研究としての同一性の確認、などを質問した。インタビューの転記に基づいて、エンドセリンの研究史や主要な科学文献の発表の流れをまとめ、研究活動の中で科学文献が作成される機構に対する研究者の説明付け(accountings)を、科学知識の社会学的に分析した。 科学文献の分析や科学文献の作成過程に関する調査を通して、「科学情報の流れ(「科学情報」が「専門知識」として成立するまでの流れ)を研究する新しい枠組みを提示し、その枠組みに基づいて行った分析・調査の結果を発表した。これらの成果は、今後の科学文献の分析や情報の流れ研究における、新しい方向付けを示した。
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