1991年12月から1992年2月の期間中に北海道石狩湾周辺で北大理学部偏波ドップラーレーダーで観測されら冬期季節風時降雪雲の観測データの解析を行った。 筋状に組織化された降雪雲は主風向に平行な走行を持つLモードの降雪雲と直交した走行を持つTモードの筋状雲があるがその微細な構造、形成メカニズムは明らかではない。まず、Tモードの筋状雲について解析を行った。解析を行った筋状降雪雲は反射エコーが下層が進行方向後面に取り残されるように前方に傾斜していた。ドップラー速度から得られた気流系は全体としては高度1km程度の下層後面から進入してきた気流は前面上層に抜け、また、高度500m以下の最下層に強い発散場が見られた。偏波パラメーター(Z_<DR>)の分布から最下層に形成された強い発散場は霰粒子の存在が推定された。Tモードに組織化された筋状雲と降水粒子の形成には密接な結び付きがあることが示唆された。 次に、同期間に行われた航空機観測から偏波パラメーターと実際の雲内の降水粒子の比較を行い、両者が一致することが確かめられた。 また、本年度12月に福井県美浜町に北大理学部偏波ドップラーレーダーを設置し、北陸地方に見られる冬季降水雲の観測を行った。日本海上の総観場を支配する低気圧性循環の位置とレーダーで観測された降水雲の組織化の形態に関連が見られた。また、低気圧性循環がオホーツク海海上にあるときオープンセル状に組織化されたエコーも観測され、風の場と組織化の関連性について解析を行った。
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