研究概要 |
GTP結合蛋白質は,プレニル鎖がそのペプチド鎖のC末端Cys残基のSH基に結合しており,動物ではGTP結合蛋白質など細胞の機能分化と密接にかかわっている蛋白質である。しかし高等植物にGTP結合蛋白質があることを蛋白質レベルで証明した報告はない。 そこで,植物におけるGTP結合蛋白質の存在を明らかにするために,ダイズ発芽種子に[gamma-^<35>S]GTPを投与し,構成タンパク質に取り込まれるかどうかを調べた。その結果,40kDaと12kDaのタンパク質が^<35>Sで標識されることがわかった。このことより,ダイズ発芽種子にGTPと結合するタンパク質が存在することが明らかとなった。 ついでGTP結合蛋白質の翻訳後修飾様式,特にプレニル鎖の構造の両面から追跡した。[5-^3H]メバロン酸(MVA)を用いたトレーサー実験を行なった。その結果,40kDaのタンパク質に[5-^3H]MVAに由来する放射能の取り込みがみられた。次に,[5-^3H]MVAあるいはその生合成産物のGTP結合蛋白質との結合様式を調べるために,40kDaのタンパク質画面をヨウ化メチルで処理し逆相HPLCで分析した。その結果,Gernyl geraniol溶出画分に[5-^3H]MVAに由来する放射能の取り込みがみられた。このことから,植物のGTP結合蛋白質は,Gernyl geraniol基で修飾されていることが明らかになった。 現在,植物ホルモン処理後のGTP結合蛋白質の細胞内局在性を調べ,高等植物のGTP結合蛋白質が細胞内でのシグナル伝達を担っていることを解明中である。
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