研究概要 |
我々は、脂質平面膜法を検定系として、筋小胞体チャネルの精製を試みてきたが、ConA-Sepharose及び陰イオン交換クロマトグラフィーによる分離した分子量が138kDaと100kDaの糖タンパクを含む分画にのみCI-チャネル活性が認められた。阻害剤の結合実験の結果などにより、このうち、100kDaタンパクがCI-チャネルと推測される。一方、二つの糖タンパクが様々なクロマトグラフィーで必ず同じ分画に存在することから、138k糖タンパクはチャネルを制御するタンパクである可能性が考えられる。電気泳動的に目的のタンパクを抽出した138kDa糖タンパクを抗原として、マウスを用いてポリクローナル抗体を作製したところ138kDa糖タンパクの他に160kDa、53kDa糖タンパクとも反応を示した。また、138kDa糖タンパクの部分アミノ酸配列の決定に成功し、相同性の検索を行ったところ、160kDa、53kDa糖タンパクの共通アミノ酸配列を持つことが分かった。以上より、これらのタンパクが共通の遺伝子からスプライシング制御を受けてつくられたタンパクであることが示唆される。また、138kDa糖タンパクのアフィニティカラムを作製してその結合タンパクを探索したところ、0.1M,0.3M KC1で溶出される分画に100kDaのタンパクが存在した。これをベシクルに再構成して脂質平面膜に組み込んだところ、0.3M KC1溶出分画でカチオンチャネル活性が観測されたが、C1-チャネル活性は観測されなかった。このチャネル活性はNeomycinにより阻害されたのでSRのmaxi-K^+チャネルである可能性がある。 また、骨格筋のmRNAを注入する事によって、アフリカツメガエルの卵母細胞表面膜に、筋小胞体チャネルを発現されることに成功した。
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