研究課題/領域番号 |
05858108
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小山 文隆 東京大学, 医学部, 講師 (40194641)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1993年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ダウン症候群 / APP / タウ / upregulation / アルツハイマー病 / APP-751 / 4-repeatタウ |
研究概要 |
ダウン症候群(DS)は beta-アミロイドの前駆体である beta-amyloid protein precursor(APP)遺伝子がのっている第21番染色体が3つ(トリソミ-)あることで定義される。40才以降の DS 患者のほとんどの脳にはアルツハイマー病(AD)に特徴的な二つの病理学的変化が認められることから、老人や AD 脳で見いだせなかったような明確な遺伝子発現の変化を DS 脳では検出できる可能性が高い。本年度の研究では、APP とタウ mRNA 前駆体の alternative splcing とそれぞれの mRNA レベルを DS と正常で比較した。APP とタウのアイソフォームの発現を正常と DS 脳で比較すると両者のあいだに明確な差異は見いだせなかった(ただし APP-770 の発現は有意に増大していたがこれは DS の神経細胞数の減少および特徴的なグリオーシスによるものと考えられる)。これに対し、APP とタウの mRNA 濃度については正常、DS間で明確な差が認められた。 APP mRNA レベルは個体差が大きかったが、群全体としては mRNA レベルは DS 脳で有意上昇していた。同様にタウの mRNA レベルも有意に上昇していた。このような upregulation は他の二種の神経細胞特異的なタンパク質では認められなかった。さらに、老人脳で認められた APPとタウ mRNA 間の相関性は DS 脳でも確認されたが、 DS の場合には正常のものとは異なっていた。すなわち、APP-695 と 3-repeat タウ間の比例関係は DS でも認められたが APP-751 と 4-repeat タウ間の関係は DS 脳では認められなかった。これらのことから DS 脳は APP とタウの発現の upregulation、 APP-751 と 4-repeat タウ間の協調的発現の欠除の二点で特徴づけられることがわかった。
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