上頚神経節における神経伝達は、コリン作動性の中継伝達であることはすでに確立されている。その中継ニューロンである主細胞の神経突起の全貌を、そのシナプス構成とともに光顕・電顕観察によって明らかにした。主細胞の樹状突起は、節前線維からの入力を受けるだけでなく、シナプス前要素として隣接する主細胞にシナプス出力していることが確認された。このアドレナリン性シナプスは、中継伝達であるコリン性神経伝達を修飾する局所神経回路を形成すると解釈できた。また、このアドレナリン性局所神経回路は、形態的な可塑性を有していることも明かとした。すなわち、alpha2作動薬の作用や受動的過分極によって、アドレナリン性シナプスが増加してくることを明かとした。樹状突起内の小胞集団、樹状突起間の膜接着構造が相関して、樹状突起が形態的変化(糸球体状神経叢の形成・成熟)を起こすことによるシナプス形成を仮説として設定した。この仮説の直接証明は、今後の課題として残された。電気生理学的には、抑制性シンプス後電位が観察され、alpha2拮抗薬であるヨヒンビンでこの電位が抑えられることが確認できた。
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