研究概要 |
NG108-15細胞中にグアニル酸シクラーゼ(GC)を活性化する新規サブタイプのセロトニン(5-HT)受容体(5-HT_G)が存在することを見いだし、これまでにその性質についての解析を行って、一酸化窒素生成系は関与しないことや、細胞外へのcGMPの放出が認められることなどの数多くの知見から、無傷細胞においてはその活性化機構は心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)受容体と類似していることを報告してきた。今回さらに、その作用機序の詳細な検討を行い、(1)細胞膜画分をANPで刺激するとMg^<2+>とATPに依存してGCの活性化が生ずるものの、5-HTによってはほとんど活性化を生じなかったこと、(2)プロテインキナーゼCの活性化は、無傷細胞における5-HTによるGC活性化を完全に抑制したが、ANPによるものはあまり抑制しなかったこと、(3)5-HT_GはニューロブラストーマN18TG-2中に多く存在するが、グリオーマC6Bu-1中にはほとんど存在しないことを明らかにした。これらの結果により、5-HT_G受容体は、ANP/GCのような受容体/活性部位一体型の蛋白ではなく、GCとは別個の蛋白質であること、および5-HT_Gはニューロンに選択的に存在し、その機能を担っている可能性があると推定した。また、N18TG-2のmRNAからcDNAを調製し、COS-7発現系を用い、cGMPの生成量を定量する新たな機能的発現法によるクローニングも試み、現在まで2,000クローンに絞り込んでおり、近い将来その一次構造を明らかに出来るものと考えている。
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