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西洋・日本・韓国文学における<新しい女性の形成と変遷>

研究課題

研究課題/領域番号 05F05012
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分外国
研究分野 各国文学・文学論
研究機関九州大学

研究代表者

西野 常夫  九州大学, 大学院比較社会文化研究院, 助教授

研究分担者 GIL M  九州大学, 大学院比較社会文化研究院, 外国人特別研究員
GL M  九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2005 – 2006
研究課題ステータス 完了 (2006年度)
配分額 *注記
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2005年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
キーワード恋愛 / 結婚 / 民族愛 / 恋愛観 / 結婚観 / 民族主義愛情観
研究概要

今回は夏目漱石「三四郎」(『東京朝日新聞』『大阪朝日新聞』1908・9・1-12・29)と韓国最初の近代小説(恋愛小説)李光洙の「無情」(1892〜1950)(『毎日申報』1917・1・1-6・14)を比較し、日韓1910年代前後の典型的な<新しい女性>の意味合いの相違を考察した。日本留学中に西洋文学(日本語訳を通じて)や日本の新文学に接した李光洙の文学は、日本文学からの影響を無視できない。李光洙の最初の「愛か」(『白金学報』1909・12)は日本語で書かれており、また彼の「無情」の一部分も日本滞在中に書かれている。李光洙の日記には「虞美人草」(『東京朝日新聞』『大阪朝日新聞』1907・6・23-10・29、ただし、『大阪朝日』は10・28まで)、「三四郎」(『東京朝日新聞』『大阪朝日新聞』1908・9・1-12・29)を読んだという言及があり、漱石から李光洙への影響の可能性を想定することができる。「無情」では、植民地時代の動乱の中で、新青年の李享植、新女性を代表する善馨、旧道徳を守る英採をめぐる三角関係を通して、旧結婚制度を打倒し、自由な恋愛結婚を理想化する若者たちが描かれている。「無情」に登場する女性たちは高等教育を受けたエリートであり、彼女たちの時代に伝統を打破しようとする知的なモダンガールという言葉が生まれた。しかし「無情」では、自由恋愛観を提示しようとする作家の努力はうかがえるが、恋愛観の展開は不十分であり、新しい教育を受け(留学)、国を救おうとする民族主義的な<新しい女>の誕生の描写に重心を置いている点が「三四郎」と相違する。そこに当時の国情の違いの反映を見ることもできよう。両作品における共通点は、<新しい女性>を描写するには、新教育を受けた女性の登場が不可欠な要素であったことである。「三四郎」は日露戦争の後を、「無情」は植民地時代という特殊な社会を描く作品として、近代的な<新しい女性>を描こうとするが、いずれも当時の社会の壁を乗り越えることができなかった。そういう意味では美禰子と善馨の近代性は表面的なものにすぎなかったといえる。

報告書

(2件)
  • 2006 実績報告書
  • 2005 実績報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] 谷崎と外国文学における両性具有-「創造」「魔術師」とバルザック、プラトンをめぐって-2007

    • 著者名/発表者名
      吉美顕(キル・ミヒョン)
    • 雑誌名

      日本文化学報(韓国日本文化学会) 第33輯(掲載決定)

    • 関連する報告書
      2006 実績報告書
  • [雑誌論文] 李光洙の「無情」における結婚観-漱石「三四郎」における結婚観の比較-」2006

    • 著者名/発表者名
      吉美顕(キル・ミヒョン)
    • 雑誌名

      COMPARATIO 第10巻

      ページ: 1-10

    • 関連する報告書
      2006 実績報告書
  • [雑誌論文] 谷崎における母への憧憬とエロティシズム」-「母を恋ふる記」と「少将滋一幹の母」を中心に-」2006

    • 著者名/発表者名
      吉美顕(キル・ミヒョン)
    • 雑誌名

      日本文化学報(韓国日本文化学会) 第31輯

      ページ: 249-264

    • 関連する報告書
      2006 実績報告書
  • [雑誌論文] 漱石の「三四郎」と李光洙の「無情」における結婚観研究-登場人物の恋愛観を通して-2006

    • 著者名/発表者名
      吉美顕
    • 雑誌名

      COMPARATIO 第10号(In press)

    • 関連する報告書
      2005 実績報告書

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公開日: 2005-04-01   更新日: 2024-03-26  

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