研究概要 |
本研究では,アスファルト混合物の配合設計において,骨材と空隙,およびバインダの体積バランスを最適化するという体積設計法の考え方をわが国の設計法に導入し,合理性を改善してより耐久性の高い舗装構築を目指すことを目的に,体積配合設計法での設計パラメータとその基準値について検討を行っている。わが国は高温多湿で,大型車よりも小・中型車の交通量のほうが支配的であり,このような条件の下ではわだち掘れとともにひび割れに対する抵抗性を考慮して混合物中の空隙の量と質を検討していく必要がある。 アスファルト混合物の配合設計において,混合物中の空隙の量と質を管理するためには,空隙率と飽和度,骨材間隙率という,骨材と空隙,およびアスファルトバインダの体積によって決まる体積指標によってこれらの配合量を決定する必要がある。空隙率,飽和度,骨材間隙率によって各材料の体積のバランスが管理できることは,これまでの検討で明らかにされており,わが国の実状に即した空隙に関する体積指標について検討を行った。アスファルト混合物の空隙率,飽和度,骨材間隙率を把握するためには,ジャイレトリーコンパクタ(SGC)という特殊な締固め装置が必要である。この装置を用いて,わが国の骨材とわが国で流通しているアスファルトバインダを使ったアスファルト混合物を多くの配合パターンで作製し,空隙率,飽和度,骨材間隙率を求めるとともに,設計したアスファルト混合物の力学特性を評価した。混合物の力学特性の評価については,わだち掘れ抵抗性とひび割れ抵抗性について検討した。そして,全ての評価試験の結果を総合的に分析し,わが国の気候条件と交通条件に適した上記体積指標の適性値を選定した。これらの結果を中国のデータとも比較し,さらに同一原材料を用いた既往設計法による混合物のものと比較することにより,設計指標の妥当性について評価した。そして,最終的には体積指標の基準値を提案した。
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