研究課題/領域番号 |
05F05211
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
澤田 拓士 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授
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研究分担者 |
HASSANEIN R.A. 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 豚丹毒菌 / 種々の動物 / アクリフラビン耐性 / 病原性 / 血清型 / PFGE法 / RAPD法 / PCR法 |
研究概要 |
1.関節炎罹患豚由来アクリフラビン耐性豚丹毒菌の病原性と遺伝学的性状 1994〜1995年に石川県のと畜揚において関節炎罹患豚から分離された血清型1aでアクリフラビン耐性を示した豚丹毒菌18株のアクリフラビン耐性度、マウスと豚に対する病原性、さらに、パルスフィールド電気泳動(PFGE)による遺伝子型を調べた。その結果、12株が生ワクチン製造用のアクリフラビン耐性弱毒株(以下生ワクチン株)と同程度のアクリフラビン耐性を示し、そのうち4株はマウスに対して生ワクチン株と同程度の病原性を示した。この12株の中から、アクリフラビン耐性度とマウスに対する病原性が生ワクチン株と同程度の7株を選んで豚に接種したところ、1株だけが生ワクチン株と同程度の病原性を示した。さらに、この株はPFGEにおいても生ワクチン株と同じパターンを示した。一方、他の6株は豚に対してより強い病原性を示し、かっ、PFGEでは別の異なる4種のパターンを示した。以上より、アクリフラビン耐性で弱毒の豚丹毒菌が野外の豚に存在し、それらは病原性と遺伝学的性状において多様性のあることが示された。また、生ワクチン株と野外株の識別にアクリフラビン耐性以外の適切なマーカーが必要であると考えられた。 2.種々の動物由来豚丹毒菌のアクリフラビン耐性度とRAPD型別による疫学的解析 1994〜2005年に豚、牛、鶏及びと畜場の環境由来の豚丹毒菌合計32株について、血清型別、アクリフラビン耐性試験及びRAPD法による遺伝子型別行い、生ワクチン株を含む7株の豚丹毒菌参照株と比較した。プライマーは用いた13種のうちNK6とD9355で良い結果が得られた。すなわち、プライマーNK6によって供試株は5つのRAPDパターン(a〜e)に分かれ、D9355によって8つのパターン(A〜H)に分かれた。これらのパターンは血清型とは無関係で、同じ血清型の株でも異なるパターンを示したことから、RAPD法でも本菌株間の遺伝的差異を特定できることが示唆された。また、生ワクチン株を含む血清型la株のいくつかはそれらのアクリフラビン耐性度や病原性が異なっても遺伝的には相互に近い関係にあることが示唆された。これらの結果から、プライマーD9355を用いるRAPD法は種々の動物由来豚丹毒菌を迅速に分類する信頼できる方法として本菌の疫学的解析に有用であると思われた。 以上より、アクリフラビン耐性豚丹毒菌は豚及びその他の家畜や環境に広く分布し、これらの野外株は血清型や遺伝子型が生ワクチン株とは必ずしも一致しないことから、野外における豚の関節炎が生ワクチンによって起こっていると結論づけるのは難しいことが明らかにされた。
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