研究概要 |
日本における主要寒地型牧草であるイタリアンライグラスとトールフェスクにおいて,家畜の栄養改善のためにマグネシウムなどのカチオンを効率よく植物体内に吸収・蓄積する品種が育成されている。これらの高カチオン蓄積品種が,同じ2価イオンであるカドミウムも同じように効率的に体内に吸収・蓄積し,ファイトレメディエーション用の植物として利用する可能性について検討した。 高カチオン吸収品種とコントロール品種を水耕条件で20μMのカドミウム濃度で育て,個体重と体内のカドミウム濃度,他のミネラル含有量を測定した。その結果,高カチオン吸収系統は,マグネシウムやカルシウムを効率的に吸収・蓄積するが,カドミウムは必ずしも効率的に吸収・蓄積しないことがわかった。このことは,高カチオン吸収系統の根における2価イオン吸収メカニズムはカドミウムの吸収メカニズムとは一致しないことを示唆する。しかしながら,個体間での地上部に蓄積されたカドミウム濃度はマグネシウムや鉄の濃度と正の相関を示し,吸収メカニズムの類似性を示唆するデータも示された。
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