研究概要 |
以下の2つの題目について検討を行った。 1)モノポルフィリン、およびジポルフィリンピンセット型分子とフラーレンとの錯形成定数の決定 2)カーボンナノチューブとジポルフィリンピンセット型分子との錯体の理論計算 1)テトラアリール、ジアリールジアルキル、テトラアリールの3種のモノポルフィリン化合物、もしくは、愛媛大学、宇野英満教授らのグループにより合成されたジポルフィリンピンセット型分子とC_<60>,C_<70>との錯形成定数をUV-VIS,蛍光、およびNMRスペクトルより決定した。その結果、多くの場合でC_<70>がC_<60>に比べ約10倍程度大きな錯形成定数を示し、また、C_<70>は10^4-10^5程度の非常に大きな値を与えることが明らかとなった。 2)ごく最近、我々のグループでは、キラルなジポルフィリンピンセット型分子を用いた光学分割により、世界ではじめて光学活性カーボンナノチューブを得ることに成功した。本成果において、キラルなジポルフィリンピンセット型分子がいかにして右巻き、あるいは左巻きのカーボンナノチューブを識別するかについて情報を得る目的で、両ジアステレオマーのエネルギー差の理論計算を本特別研究員奨励費で購入した理論計算パッケージ、Spartan'04を用いて行った。用いた単層カーボンナノチューブに最も多く含まれる成分である、(6,5)のナノチューブで計算を行った結果、S体の分子ピンセットを用いた場合、右巻き(right-handed)が左巻き(left-handed)に比べ、より安定な錯体を形成することが明らかとなった。本成果は、Nature Nanotechnology誌の2007年6月号に掲載される予定である。
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