研究課題
特別研究員奨励費
昨年度までの研究で、重水素源として用いるD2Oの沸点付近まで加熱すると水素が存在するにもかかわらず、Pd/Cの接触水素化触媒活性が抑制される事が明らかとなりつつあったことから、加熱によるPd/Cの接触水素化抑制効果を詳細に検討した。その結果、溶媒の沸点以上(好ましくは沸点プラス30℃)まで加熱するとPd/Cの接触還元触媒活性が著しく抑制されることが明らかとなった。また、この還元抑制効果の一般性を確認するため、アルキン、アルカン、ベンジルアルコール、ベンジルエステル芳香族ハライド、芳香族カルボニル基、ニトロ基、Cbz等の多様な還元性官能基に対する接触還元活性の消失を確認し、一般性を確立した。なお、この「Pd/C触媒に対する温度依存的触媒活性抑制効果」に関しては、現在速報論文として投稿中である。また、この応用として、オレフィンやアセチレンのC-Hを還元反応なしでC-Dに交換する手法(重水素標識オレフィンあるいはアセチレンの合成法)として確立すべく、多様な不飽和化合物を基質として重水(D2O)中で反応したところ、若干基質依存性はあるものの、多重重水素標識不飽和化合物の合成法として確立することができた。特に、光ファイバー原料となるポリメタクリレートのモノマーである、メタクリル酸の5つのC-Hすべてを定量的にC-Dに置き換える簡便で実用的なな手法として、工業的適用が期待される。なお、これらの研究成果は、和光純薬工業等の企業との産学共同研究として発展しつつあり、特許申請後の論文投稿を予定している。さらに、フェローの主たるプロジェクトではないが、当研究室で開発したリガンドフリー不均一系鈴木-宮浦カップリング反応に関連したプロジェクトにおいても、触媒の検討を担当し、反応条件の最適化に多大なる貢献をした。その成果はChemistry A European Journal誌に詳報として報告した。
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Chemistry A European Journal 13
ページ: 5937-5943
Chemistry A European Journal 13(印刷中)
http://www.gifu-pu.ac.jp/lab/yakuhin/index.html