研究課題
特別研究員奨励費
本研究は日本学術振興会外国人特別研究員であるザビエ・ポール氏の研究テーマたる標記課題を軸に行った。広東におけるアヘン吸引慣行を研究し、また、それとともに社会悪として報じられることが多かった賭博や人身売買や売買春などについての研究を行った。欧米には乏しい、日本における日本語・中国語の関連資料を収集し、また、当時のことを知る人に対し中国・広東において聞き取り調査を行った6これらにより、11にかかげるような研究成果が得られた。これらの研究によって得られた知見のいくつかを箇条書きすれば以下のようなことがらである。(1)アヘン吸引慣行の態様は時期によって分けることができる((1)18世紀のアヘンの来華、(2)1839年ころからのアヘン吸引の普及、(3)1906年アヘン取り締まり活動の開始、(4)中華民国期におけるアヘン吸引ブームの再来、1950年以降め中華人民共和国による取り締まり)。(2)清末には上層の人々の楽しみがかなりあったのだが、中華民国になるとその比率は下がり、労働者や無職者が大部分を占めるようになっていく。(3)中華民国期広東モデルの取り締まり方法としては、アヘン吸引者であることを届ければ一定量が与えられるというものであった。(4)さらにアヘンは人々の健康をむしばみ、国を弱めるものとして反アヘンキャンペーンが繰り広げられ、図像を用いた宣伝も多く行われた。その基本パターンはやせこけた体と貧困と死とアヘンという4者のイメージを結びっけるものであった。(5)このような目的とイメージとで描かれるため、アヘン吸引は本来の害以上に悪しき者として表現されてきた。(6)賭博・人身売買・売買春などもしばしばアヘン吸引と結びつけて社会悪として語られてきた。
すべて 2008 2007 2006 2005 その他
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 2件)
Modern China (掲載確定)
L'Histoire (掲載確定)
学術の動向 12-8
ページ: 21-23
130001752106
アジア法研究の新たな地平(アジア法学会編)(成文堂)
ページ: 128-139
International Journal of Asian Studies Vol. 3-part2
ページ: 239-254
Recovering Financial System, Macmillan (Mariko Watanabe ed.)
ページ: 97-108
ジェンダーの比較法史学 近代法秩序の再検討(三成美保編)(大阪大学出版社)
ページ: 314-323
社会体制と法 6号
ページ: 33-35
ジュリスト 1297号
ページ: 76-78
Journal of the Hong Kong Branch of the Royal Asian Society No. 45(印刷中)