研究課題
特別研究員奨励費
蛋白質の分子集合と重合反応、ナノ粒子の選択的配列と熱融合、さらに、高分子電解質の静電相互作用を利用してシート状構造体を構築し、出血部位に対して粘着の機能を持つ新規の人工血小板(ナノ絆創膏)の創製を目指した。本年度は、親水部(SiO_2)と疎水部(オクタデシルトリメトキシシラン;ODS)からなる親疎水マイクロパターン基板(ODMS-SiO_2基板)上に、チオール基導入rHSA(SH-rHSA)を吸着、架橋させた(1)rHSAナノシートを構築した。また、ナノ粒子(ラテックスビーズ(LB)、乳酸/グリコール酸共重合体(PLGA))を配列、熱融合させた(2)ナノ粒子融合シートも構築し、各シートのヘテロ修飾法を確立し、活性化血小板に対する認識能評価を行った。さらに、キトサン(ポリカチオン)とアルギン酸ナトリウム(ポリアニオン)から構成される交互積層(Layer-by-Layer : LbL)法にて(3)多糖ナノシートの作製を行った。(1)-(3)は、基板から簡便に剥離でき、表裏面に異なる認識部位を修飾可能である。研究結果を以下に示す。(1)rHSAナノシート・酢酸緩衝液(pH5.0)において、rHSAを疎水領域(ODS)にのみ選択的に吸着させることができ、界面活性剤(C_<12>E_<10>)にて剥離が可能であった。・SH基導入rHSAは酸化触媒存在下(Cu^<2+>)でジスルフィド結合が進行し、rHSAナノシートが構築できた。・rHSAナノシート片面のみにLBを修飾できることが共焦点顕微鏡観察にて証明できた。(2)ナノ粒子融合シート・N_2ガスによる吹流しと純水洗浄操作によって、LB、PLGAナノ粒子を疎水領域(ODS)にのみ選択的に吸着させ、粒子の熱融合、犠牲膜(ポリ(ビニルアルコール)(PVA))を用いた剥離により、シート状構造体の分散体を得ることができた。・PVA犠牲膜はヘテロ修飾工程の支持膜としても作用させることができ、シート表裏にPEG及びH12がヘテロ修飾でき、活性化血小板に特異的に結合できた。(3)多糖ナノシート・キトサンとアルギン酸ナトリウムをスピンコーティング法にて交互積層させた膜厚約30nmの多糖ナノシートを作製し、アスペクト比100万を超すシートであっても簡便に剥離させることに成功した。・PVA犠牲膜を利用することで、多糖ナノシートの形状維持したまま簡便に皮膚上へ接着させることに初めて成功した。
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