研究課題/領域番号 |
05J01097
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
社会学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
猪股 祐介 京都大学, 大学院・人間環境学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2007年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 満洲移民 / 中国残留日本人 / 中国帰国者 / 引揚者援護 / 戦後言説 / 国際交流 / 日中関係 / 満州移民 / 引揚者 / 拓友会 / 戦後社会論 / 歴史社会学 / 戦争の記憶 |
研究概要 |
本年度は岐阜県の旧満洲開拓団に対する聞き取り調査、長野県泰阜村の大八浪開拓団団誌編纂事業への参加というフィールドワークと、満洲移民に関する文献調査によって、以下の三つの新たな知見を得た。 (1)長野県泰阜村の引揚者援護事業 長野県泰阜村が満洲分村移民を送出した責任を重く受け止め、引揚者援護と戦後開拓に積極的に取り組んだことを、新発見の泰阜村役場資料によって明らかにした。具体的には、引揚者援護では、引揚援護「愛の運動」に村を挙げて協力した。引揚者の県外開拓を分村移民と位置づけ、最大規摸の山梨県富士ケ嶺開拓団には援護会が結成され、物心両面にわたる積極的な援護が行われた。 (2)戦後日本社会の「満洲移民の物語」 戦後出版された満洲移民に関する小説・体験記等を収集し分析した結果、戦後日本社会の「満洲移民の物語」として「被害者の物語」「加害者の物語」「啓蒙者の物語」を析出した。「被害者の物語」は満洲移民を日本人のなかでも特に大きな犠牲を強いられた被害者として、擁護する物語である。「加害者の物語」は満洲移民を植民地支配の一翼を担った加害者として、糾弾する物語である。これらに対して、「啓蒙者の物語」はアジア・太平洋戦争を一部肯定する言説であり、戦後社会では満洲移民関係者のなかだけで通用する、モデル・ストーリーであった。 (3)満洲移民をきっかけとした国際交流事業の展開 岐阜県白川町は、1941年に黒川開拓団を送出した経緯から、その旧入植地である吉林省松原市との青少年交流事業を1990年代以降展開してきた。この国際交流事業は、黒川開拓団の拓友会の働きかけで始まった。現在は、満洲移民の歴史にとらわれない、新しい世代の日中交流という新たな枠組を模索されている。
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