研究課題/領域番号 |
05J01462
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生態・環境
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加賀田 秀樹 京都大学, 生態学研究センター, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2007年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 食物連鎖 / 生態化学量論 / 生態転換効率 / 炭素:窒素比 / 3栄養段階 / ヤナギ / ハムシ / テントウムシ / 間接効果 / C : N比 / 昆虫群衆 / 栄養カスケード / 物質転流 / C:N比 / 昆虫群集 |
研究概要 |
Sterner and Elser (2002)は、化学量論的にバランスのとれたシステムでは、消費者の成長は炭素に律速され、アンバランスなシステムでは窒素などの栄養素に律速されていると予測した。この予測を検証するために、ジャヤナギーヤナギルリハムシーカメノコテントウの3栄養段階の食物連鎖を対象として、栄養段階間の炭素と窒素の転換効率、および消費者の成長に対する制限元素を特定した。それぞれの栄養段階の元素分析の結果より、ヤナギーハムシ間は化学量論的にアンバランスなシステムであり、ハムシーテントウムシ間は相対的にバランスのとれたシステムであることがわかった。結果として、1)ハムシの炭素転換効率(21.1%)は、テントウムシの転換効率(29.3%)より低かった。その一方、ハムシの窒素転換効率(54.4%)は、テントウムシの転換効率(27.7%)の約2倍も高かった。2)ハムシでは炭素転換効率より窒素転換効率の方が高く、テントウムシでは逆に窒素転換効率よりも炭素転換効率のほうが高かった、ことが明らかになった。また、3)ヤナギの窒素含量を人工的に増加させて、転換効率の変化を調べたところ、ハムシの炭素転換効率は増加したが、窒素転換効率、およびテントウムシの炭素、窒素転換効率は変化しなかった。 これらのことより、前述の予測は支持され、化学量論的にバランスのとれたシステムでは、消費者の成長は炭素に律速され、アンバランスなシステムでは窒素に律速されていることが示された。このことは、一本の食物連鎖においても栄養段階の違いにより、消費者の成長を律速する元素が変化することを意味している。また、植食者は高い窒素転換効率をもつことに加えて、植物の質の上昇に対して炭素転換効率を増加させることによって2次生産量を増加させる。このような植食者の特性は、3栄養段階の食物連鎖をささえるとともに、植物から肉食者までの物質の転換効率を決定するのに重要な役割を果たしていることが示された。
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