研究課題/領域番号 |
05J02261
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生態・環境
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
持田 浩治 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(CD1)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2006年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 警告色 / 共進化 / 捕食被食の相互作用 / 緯度クライン / 多様性 / 多形質の相関した進化 / 地理的モザイク / 島嶼での進化 / 捕食-被食の相互作用 / 形質間の相互作用 / 鳥嶼での進化 / 相関した進化 / イモリ / 地理的変異 / 地理的クライン |
研究概要 |
19世紀にA.R,Wallaceが驚嘆した、鮮やかで変化に富んだ熱帯の生物の色彩の存在は、現在では生物学者だけでなく、一般にまで広く知られている。近年、緯度に沿った生物間の相互作用の勾配が報告されるようになり、それによって、低緯度に棲む生物の形態や行動の特異さと多様性について、いくらか説明が行われてきた。一方、自然界では、色彩を介した様々な生物間の相互作用がみられる。しかしながら、低緯度に棲む生物の色彩の鮮やかさや多様性を、緯度に沿った生物間の相互作用の強さの違いによって理解する試みは、これまで行われていない。研究者は、イモリを研究対象として、色彩を介した生物間の相互作用の1つである警告的現象に注目してきた。これまでの研究により、島嶼に生息するイモリの警告色と警告的行動は、本土に生息する個体に比べ、より目立つことがわかっている。この警告色と警告的行動の地理的変異の相関は、地理的に変動する捕食圧の違いによるものと考えられている。今年度、研究者は、調査スケールをより広くすることで、緯度に沿った警告色の地理的変異の勾配の存在を明らかにした。つまり、イモリの警告色は緯度が低くなるにつれ、より目立つようになる。また低緯度では、島嶼と本土の個体群間の警告色の変異が再検出されたものの、高緯度ではこれが検出されなかった。つまり、イモリの警告色の個体群間(島嶼VS本土)の変異は、緯度が低くなるにつれ、顕著になることが明らかにされた。これはWallaceが発見した低緯度に棲む生物の色彩の特徴と一致するものである。また一方で、警告的行動にはこのような傾向は検出されなかった。以上のような警告色と警告的行動の地理的変異の相関、非相関に加え、イモリの生息域における生物・非生物的な環境調査の結果は、イモリとその捕食者との相互作用が、空間的にダイナミックに変化していることを意味する。
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