研究課題
特別研究員奨励費
小胞体内腔に異常タンパク質が蓄積すると、それを処理するために、分子シャペロンの転写誘導、タンパク質翻訳の抑制およびユビキチン-プロテアゾーム系での分解といったunfolded protein responseが活性化する。本研究ではこれらのストレス応答に加え、オートファジーが活性化し、小胞体内に蓄積した異常タンパク質を処理する可能性を見い出した。ツニカマイシンやサプシガルジンにより小胞体ストレスを負荷した神経芽細胞腫SK-N-SH細胞の電子顕微鏡による観察を行うと、ストレス処理後2-6時間で、オートファゴソームに特徴的な所見である、オルガネラを取り込んだ2重膜形成が高頻度に観察された。オートファジーのマーカーであるLC3の動態を蛍光顕微鏡による観察とウエスタンブロッティングにより検討したところ、小胞体ストレス時にLC3がプロセッシングを受けて活性化し、オートファゴソームに局在していることが観察された。小胞体ストレスセンサーのうち、IRE1をノックアウトした細胞では小胞体ストレス誘導性オートファジーが観察されなかったことから、小胞体ストレスによるオートファジーはIRE1を介するシグナルに依存していることが明らかになった。オートファジーの阻害剤である3-メチルアデニンを処理すると小胞体ストレスによる細胞死が増強され、またオートファジー不全株であるATG5欠損細胞やATG5ノックダウン細胞でも同様に小胞体ストレスに対する抵抗性が減弱していた。これらの結果からオートファジーは小胞体ストレスから細胞を保護している可能性が示された。
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