研究課題/領域番号 |
05J03016
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
社会学
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
荒川 敏彦 東京外国語大学, 外国語学部, 学振特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2007年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | マックス・ヴェーバー / 理解社会学 / 宗教社会学 / 経済と社会 / 殻 / ゲホイゼ / 生活態度 / プロテスタンティズム / 予定説 / カルヴィニズム / 召命(有効召命) / 確証 / ゲマインシャフト行為 / 神学 |
研究概要 |
本年度は、ヴェーバーの『宗教社会学』草稿の解明を進めた。まず、本テキストについての既存の目次構成が抱える編集上の問題に配慮して目次を構成しなおし、本テキストがその「具体的な細部の記述において」いかに理解社会学的方法を適用しているのか、その解明を進めた。留意点は、テキストの(1)冒頭で『理解社会学的のカテゴリー』の概念と方法にもとづいて考察をするという課題が設定されており、また(2)記述が進められていくなかでも『カテゴリー』論文の諸概念が明示的に使用されている点である。したがって、概念の明示的使用箇所の解明とともに、黙示的適用箇所をいかに解釈しうるかが重要となる。ヴェーバーの理解社会学は、単なる方法論的個人主義ではなく、行為と秩序のダイナミクスに焦点化している。『宗教社会学』草稿においても、諸個人のさまざまな意味要求によって形成された宗教的秩序が、それ自体として主要な担い手の階級に制約されつつも、他方でそれぞれに固有な宗教秩序として形成発展を遂げ、諸個人の生活態度を規定していくという相互作用的なダイナミクスが読み取れる。その記述の細部にわたる全検証はなお継続中であるが、「宗教的秩序」と「宗教的行為」との相互作用の解明は、ヴェーバーにおける「宗教」と「社会」の二領域の解体と再構成につながるものであり、狭義のヴェーバー研究を超えて、「宗教」および「社会」という「近代的」概念を使用する近代諸学全般の根底に関わる問題を再考する重要な考察と考えられる。 同時に、『宗教社会学』の構造的解明を基礎に、『世界宗教の経済倫理』系列の歴史的モノグラフとの対照性を解明することで、ヴェーバーの理解社会学と歴史社会学を交差させた、新たなヴェーバー像を提示できると考える。その一環として、論文「殻の中に住むものは誰か」では、「殻(ゲホイゼ)」によって表示された社会像が、これまで「鉄の檻」と訳されて一面的抑圧と理解され流布したことを批判し、「殻」が保護と抑圧の両義性を表現した概念であることを解明するとともに、それを近代社会「以外」で用いることで近代社会における殻の特質を歴史的に位置づけうることを指摘した。
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