研究概要 |
本研究では,超音速混合促進技術の開発を目的とし,噴射によって導入した縦渦と衝撃波の干渉現象およびその結果としてあらわれる混合効率,推力損失の評価をおこなうことを目的としている.本年度は以下の結論を得た. マッハ数2.4の主流中へ,壁面に対して15,90度の角度で燃料模擬ガスを噴射し,噴流の形成する縦渦と噴流の形成する衝撃波の反射波との干渉を調べた.90度噴射においては,衝撃波が強く,縦渦で誘起される上向き速度成分が著しく低下するのに対して,15度噴射においては,衝撃波が弱いため,その低下量は小さく,縦渦の上向き誘起速度が下流部まで高い値を示した.15度噴射においては,縦渦が形成する高い上向き速度のために,噴射気体の最高モル分率位置の壁面からの距離は90度噴射とほぼ同等または,高かった.噴流中心の壁面からの距離が高いほど,燃料の混合や燃焼においては有利である.上向き方向運動量は90度の方が15度に比べて,高いことを考慮すると,15度噴射は,壁面から離れるということに関しては,非常に効率の良い噴射形態である. 超音速流速場の粒子画像流速計測法において問題となる粒子追従遅れの補正方法について,抗力係数と流速変動の補正流速に及ぼす影響を調べた.一般的な抗力係数を使用できる補正式を定式化し,さらに,流速変動の影響を考慮するために,変動量を考慮できる補正式を定式化した.抗力係数に関しては,本研究で使用している条件においては,その影響は大きくないことが示された.振動する衝撃波を対象とした流速変動の影響調査においては,変動の影響は出るものの,その値は本研究の実験条件下では,主流流速値の10%程度であり,元々の誤差が60%以上であることを考慮すると変動流速を考慮しない補正であっても,非常に有効であることが分かった.
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