研究概要 |
炎症性サイトカインIL-8は、生体内でCD8^+T細胞の機能に大きな影響を与えていると考えられるが、IL-8の受容体であるCXCR1のCD8^+T細胞上での発現を解析したところ、Perforin^+のCXCR1^+CD8^+T細胞はエフェクターサブセットの約過半数を占め、IL-8に対して遊走能を示した。 健常人から分離したエフェクターサブセット中のCXCR1^+細胞とCXCR1-細胞はいずれもHCMVエピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して即座に強力な細胞傷害活性を示し、エフェクターCD8^+T細胞の成熟に不可欠な転写因子EOMESとT-betも同様に発現していた。CXCR1-細胞は活性化するとTNF-α、IFN-γ、IL-2を産生し、IL-2非存在下においても自己増殖能を示した。興味深いことにCXCR1^+細胞はIL-2の産生能をほとんど持たず、IL-2非存在下においては増殖能を示さなかった。さらに、CXCR1-細胞はCXCR1^+細胞に比べてIL-2存在下・存在下いずれにおいても、活性化による細胞死に対してより耐性であった。また、これら2つのサブセットにおけるIL-2受容体(CD25,CD122)の発現に有意な差は見られなかった。 これらのことから、CXCR1^+CD8^+T細胞はもっとも分化・成熟の進んだターミナルエフェクター細胞であり、単一であると考えられていたエフェクターCD8^+T細胞が機能的に多様な細胞によって構成されていることが示唆された。
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