研究概要 |
Streptomyces rochei 7434AN4株の線状プラスミドpSLA2-L上に見つかったSARP遺伝子srrY及びsrrZによる抗生物質ランカマイシン(LM)、ランカサイジン(LC)生産制御のメカニズムに関する解析を行った。pSLA2-L上には3つのSARP遺伝子(srrY;ORF75,srrZ;ORF71,srrW;ORF55)がコードされており、srrY破壊株(ΔsrrY)はLM,LCの両方の生産が、srrZ破壊株(ΔsrrZ)はLM生産のみが欠損した。この結果からsrrYがsrrZを介してLM生産を、srrYがsrrZを介さずにLC生産を制御していると考えられたが、遺伝子発現及びLM生合成を指標としてこのsrrY→srrZの階層性を示した。また、網羅的なLM生合成遺伝子の発現解析の結果から、srrY,srrZによるLM生合成の制御は遺伝子群全体を制御しているのではなく、特異的にsrrYがsrrZ、1kmAIを介してポリケタイド骨格合成を制御することがわかった。さらに、srrYがsrrZを介さずに水酸化酵素遺伝子1kmKの発現を制御しており、ポリケタイド合成後の修飾反応も制御していることが明らかになった。以上の結果から、LM生合成はsrrYにより二重に制御されている可能性が示唆された。 また、当研究室で進行中であるS.rochei 7434AN4株のもうひとつの線状プラスミドpSLA2-Mの全塩基配列決定に関与し、pSLA2-Mの両末端には、pSLA2-Lの両末端を含め、多くの線状放線菌ゲノムの末端に存在する反復配列を有し、この反復配列が末端蛋白質の結合と末端複製に関与するY字ステムループ構造を形成可能であることを示した。
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