研究課題/領域番号 |
05J08325
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 京都大学 (2006) 東京工業大学 (2005) |
研究代表者 |
飯田 英明 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2006年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | クォーク・グルーオン・プラズマ / 格子量子色力学 / ダイクォーク / スカラーQCD / ハドロン物理 |
研究概要 |
1、カラーの非閉じ込め相、すなわち相転移温度以上の状態におけるチャーモニウムの性質を、格子量子色力学を用いて研究した。オリジナルな点として、異なった空間方向の境界条件を用いることで、チャーモニウムの状態が空間的にコンパクトなのか、拡がった状態なのかを調べたことが挙げられる。これにより、J/Ψ・η_cなどのS波のチャーモニウムは、相転移温度を超えても存在することを確かめた。また、χ_c1と呼ばれるP波のチャーモニウムは、相転移直後に消えることがわかった。最大エントロピー法によって再現したチャーモニウムのスペクトル関数の境界条件依存性からも、上と同じ結論を得た。これらの結論を論文としてまとめ、その論文はPhysical Review Dに掲載された。 2、量子色力学におけるクォークを、色を持つスカラー粒子(スカラークォーク)に置き換えた、スカラーQCDの研究を、格子量子色力学を用いて行った。スカラークォークは、クォーク2体の束縛状態であるダイクォークの点粒子極限であることから、この研究はダイクォークの研究と結びついている。スカラークォークの束縛状態の質量を調べることで、強い相互作用によって生まれるスカラークォークの質量を見積もった。その結果、1GeV程度の赤外カットオフにおいて、その質量が通常のクォークに比べて非常に大きい(1.5GeV程度)ことを見出した。この結果は、スカラーQCDの相互作用を用いている限り、ハドロンのエネルギー程度の赤外カットオフにおいて、ダイクォークがスカラークォークのような点粒子としては記述できないことを示している。また、スカラークォークが赤外カットオフ程度の質量を持つことは、「ゲージ階層性問題」において、ヒッグス粒子の質量生成が、摂動論で赤外カットオフ程度になることと同様であると考えられる。
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