研究概要 |
二相流動を正確に予測する上で,気泡速度分布計測および気泡周りの液相速度分布計測は重要であるが,その実験の困難さから更なる実験的解明が要求されている.そこで著者らによって昨年度までに開発した同軸二波長超音波センサ(マルチウェイブ・トランスデューサ)を用い,マルチウェイブで気泡・液相速度分布を同時計測するマルチウェイブ超音波法の開発を行った.超音波の反射強度は媒質である水と反射体との反射係数に依存する.従来用いていた超音波流速分布計測計(UVP)では,装置の制約によって気泡・液相の同時速度分布取得は不可能であった.そこで液相のトレーサ粒子と気液界面における反射強度の差異に注目し,異なる超音波基本周波数による反射信号を用いたデータ処理を独自開発することによって,気泡・液相の同時速度分布計測を可能とした.従来のUVP法ではドップラ信号による速度算出を行うため,最低32回の超音波送受信が必要である.それに対して本手法で用いだ相関法は,最低2回の超音波送受信によって速度算出が可能であることから,高時間分解能での計測が可能であることが特徴である.そこで開発した本手法を鉛直円管内気泡流に適用することによって,気液の速度分布計測が可能であることを示した.更にハイスピードカメラによる画像取得とマルチウェイブ超音波法を同期させることによってスラグ流周りの液相速度分布計測を可能とした.また,これらの実験データを米国Rensselaer Polytechnic Instituteにて開発された多流体三次元解析コード(NPHASE)に適用し,SBWR内ライザ部における二相流動解析を実現させた.
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