研究概要 |
近年、生体高分子のセンシングや構造活性相関の解明を行う上で、生物活性低分子の構造を含む機能性低分子(ケミカルプローブ)が利用されている。また、物質をナノサイズで制御し固体表面の微細加工を可能にする技術(ナノテクノロジー)急激に発展している。そこで、これらの技術を融合し固体表面上に機能性分子を高密度に集積化したナノケミカルプローブを創成できれば、様々な機能を有するチップが合成でき得ると考えた。 前年度までに、糖鎖プローブをガラス表面上に固定化するチオアルキル化反応の開発に成功し、特異的な糖鎖一タンパク質問相互作用を良好な感度で観測可能な2次元および3次元マイクロアレイの合成に成功している。本年度は、種々の糖鎖プローブを基板上に固定化すべく、糖鎖プローブの迅速かつ簡便な合成法の確立を目指し研究を行った。 上記した目的を達成する上で困難と予想された点は、無保護糖およびエチレングリコールスペーサー部位が親水性であるため高極性であり、合成上の取り扱いが困難であるということである。そこで、高極性化合物の取り扱いを容易にし、多種類の化合物の並列合成に適している固相合成法を利用するにした。 まず、固相合成法の確立を目指しスペーサーの長さ(4種類)の異なるα-マンノシドプローブの固相合成を行った。その結果、固相上における2量化反応を鍵反応とする固相合成法の開発に成功し、目的とする4種類のα-マンノシドプローブを良好な収率で合成することに成功した。続いて、β-ガラクトシド、β-ラクトシドの2種類、スペーサーの長さ(n=0,1,2,3)4種類から成る組み合わせ8種類の並列合成について検討した。その結果、全8種類中、計7種類の合成に成功した。
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