研究課題
特別研究員奨励費
アルツハイマー病の発症因子とされるβ-アミロイドは、前駆体タンパク質APPの連続する2回の切断によって生成される。APPは生体内でモータータンパク質であるKinesin-Iと間接的に相互作用し、小胞側の受容体(カーゴレセプター)として機能している。我々のグループが見いだしたAlcadeinはX11Lという細胞内アダプタータンパク質を介して、APPと相互作用しAPPの代謝を安定化しβ-アミロイドの産生を抑制している。1回膜貫通型タンパク質Alcadeinは細胞外にCadherinリピートをもつ新規ノンクラシカルカドヘリンタンパク質である。研究代表者はいままでにAlcadeinの細胞質ドメインにモータータンパク質キネシン-1が結合することを見いだしていた。初代培養神経細胞内でもAlcadeinがキネシン-1により輸送されることを全反射顕微鏡をもちいて証明した。さらにキネシン-1のサブユニットであるキネシン軽鎖-1,2のsiRNAによりAlcadeinがキネシン-1により神経細胞内を順方向に輸送されることを証明した。また多色同時観察全反射顕微鏡検鏡により、他のキネシン-1カーゴとして知られるAPPとAlcadeinは同じ細胞内で違う速度により輸送されることを見いだした。これはモーターの種類が輸送速度や目的地を決めていると言う従来の概念から、カーゴ側がモーターの活性を制御して目的地やその輸送速度を変更できるということを提示した。
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Exp Cell Res. 314
ページ: 1155-1162
EMBO J. 26
ページ: 1475-1486
The EMBO Journal (In press)(March 1 on Web AOP)