研究課題/領域番号 |
05J08846
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐々木 貴文 北海道大学, 大学院教育学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2006年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 水産教育 / 府県水産講習所 / 農商務省 / 遠洋漁業 / 遠洋漁業奨励法 / 資格付与機能 / 資格者養成 / 日露戦争 / 職業資格 / 資本制漁業 |
研究概要 |
今日の日本漁業は、断続的に縮小再編の流れが続いている。各地域の漁村では、漁業の新たな担い手を確保することが困難な状況にあり、漁業者の減少に歯止めがかかっていない。しかしながら、こうした困難にあっても、従来の議論では、体系的に漁業者を養成する制度や教育機関への関心は低いままであった。はたして、水産教育の果たすべき役割や機能についての検討は、十分為されてきたとはいえない。本研究は、以上の問題関心にたって、体系的な漁業者養成の実態を追究する制度史研究の一環として、府県水産講習所制度の展開過程を把握することを試みた。 その結果、長崎県の府県水産講習所が、日露戦争後の資本制漁業の早急な確立と遠洋漁業の外延的拡大を目指す水産政策、すなわち「遠洋漁業奨励法」に依拠する遠洋漁業推進策との連関のもとで、遠洋漁業に関する知識と遠洋漁船乗組員資格を付与する「遠洋漁業型水産教育機関」として展開することを目指した過程を明らかにすることができた。また、こうした資格付与機能が、水産教育機関にとって「諸刃の剣」であったことも確認した。すなわち、資格付与機能が船員の需給バランスが均整しているときは、水産教育機関の必要性を顕示する材料となったものの、その需給バランスの悪化、もしくは水産教育機関が資格付与機能を放棄した場合には、水産教育機関の存立意義すらも脅かす危険性をはらんでいたことを明らかにすることができた。 これはすなわち、府県水産講習所にみられる遠洋漁業奨励策との親和性と、資格付与機能との一体性が、日露戦争を背景にして強固なものになっていったことを意味したものであった。
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