研究概要 |
我々はこれまで不斉ロジウム(II)アミダート錯体Rh_2(S-BPTPI)_4が、Danishefsky型ジエンとアルデヒドおよび酸素官能基一つで活性化されたジエンとアセチレンアルデヒドとのヘテロDiels-Alder(HDA)反応において優れた不斉ルイス酸触媒として機能することを報告している。本年度はロジウム(II)錯体をルイス酸触媒として用いる反応開発研究および開発した反応の応用研究を行い、以下の知見を得た。 1.抗骨粗鬆症作用を持つ天然物diospongin Bの触媒的不斉合成を行った。ベンズアルデヒドを用いたHDA反応により得られる環化生成物とアセトフェノンから調製したシリルエノールエーテルの向山-Michael反応を行うと、トランス-2,6-二置換テトラヒドロピラノンを単一ジアステレオマーとして得ることが出来た。続いて、L-Selectrideによる位置および立体選択的還元を行い、diospongin Bの触媒的不斉合成を達成した。 2.通常、ルイス酸触媒の適用が困難である3-シロキシ-2-アザ-1,3-ジエンとアルデヒドとのHDA反応に、Rh_2(S-BPTPI)_4を用いると極めて高い不斉収率でテトラヒドロオキサジノンが得られることが分かった。また、環化生成物はβ-ヒドロキシカルボン酸誘導体などに変換可能なキラルビルディングブロックである。
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