研究概要 |
電界放射顕微鏡(Field Emission Microscope:FEM)によりビーム誘起堆積Pt冷陰極の電子放出パターンの評価を行った。これにより、ビーム誘起堆積Pt冷陰極の電子放出パターンは複数のスポットで構成されていることが分かった。また、陽極電圧を高くするとスポットの数も増加することが分かった。ビーム誘起堆積Ptはアモルファスカーボン内に直径3nm程度のPtナノクリスタルを内包した構造をしている。そのため、複数のスポットからなる電子放出パターンはPt冷陰極先端のPtナノクリスタルの分布を反映したものであると考えることができる。400℃アニール処理を行ったPt冷陰極では、放出電流が低い時に縞状の電子放出パターンを観察した。アニール処理によりPtナノクリスタルが凝集し電気伝導特性が変化したことにより、隣接する電子放出サイトで電子波の干渉が起こっている可能性があることを示した。 次にアニール処理を行うことによってPt冷陰極表面にナノ突起を作製することができ、先端に10nmの間隙をもつナノ突起を作製することが出来た。電界放射顕微鏡による評価を行ったところ、隣接2先端から放出した電子波の干渉縞と考えられる7本の縞状の電子放出パタニンを観測した。得られた干渉縞はフラウンホーファ回折モデルから得られた干渉パターンと良い一致を示すことを明らかにした。干渉縞の間隔から電子波の波長を求めると金属のフェルミ波長と同程度となることを明らかにした。 この成果をThe Joint 19th International Vacuum Nanoelectronics Conference and 50th International Field Emission Symposium, July 17-20,2006,Guilin, China.において発表した。
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