研究課題
特別研究員奨励費
各国における欧州統合による政治空間の変容を精査するため、近年量を増している「ヨーロッパ化」の研究アジェンダのレビューおよびその問題点を指摘し、その一端を2005年度日本政治学会(分科会G)において報告・発表した。その要点は、「ヨーロッパ化」が国民国家体系に基づくセクター内の正当性を分断・脱領域可させ、その結果としてアクターの自律化と新たな正当性の模索を導くという点にあった。上記の過程で「ヨーロッパ化」の機能が国・領域および時代において極めて異なる影響を持つことが了解されたため、その基点となる80年代のフランスの政党政治の機能および政党組織の変容に焦点を絞り、その予備作業として、社会党における組織内変化と、欧州統合に対する否定的反応の源泉となっているイデオロギー(アイディア)および派閥力学関係(利益)の両面からの説明を試みた。また、射程を90年代にまで広げ、欧州統合を政治的争点とする、政治的左右に位置するいわゆる「主権主義政党」を取り上げ、その政党システムにおける機能と存在理由が既存政党の欧州統合・EU政策に対するコミュニケーション能力と構造的要因から来る適応不完全にあることを証明した。その後、アイディアと利益に加えて人為的ファクターを考慮に入れるため政治的リーダーシップの変数を導入し、具体的なケースとして80年代前半のフランス社会党政権による政権交代とこれのEMS(欧州通貨制度)を媒介としたいわゆる「政策的転回」を事例として研究を進めている。
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Policy Innovation in Advanced Democracies,COE, University of Tokyo, Working Paper
2005年度日本政治学会報告ペーパー
日仏政治研究 第1号第1巻
ページ: 95-108
生活経済政策 104号
東京大学21世紀COEプログラム「先進国における<<政策システム>>の創出」occasional paper