研究課題/領域番号 |
05J11223
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
土木材料・力学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
本條 晴一郎 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2006年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ハラスメント / 学習 / 知覚 / 脳科学 / 複雑系 / 創発 / コンテキスト / 精神疾患 / 聴覚系 / 力学系 / ロッキング / 周波数成分 |
研究概要 |
聴覚系は外界の空気振動に反応する受動的なシステムではなく、状況に応じて反応の仕方を変える能動的なシステムである。前年度は、状況に応じて聴覚系がどのように反応の仕方を変化させるかを、聴覚末梢の有毛細胞をモデル化することによって調べた。そこで見出されたのは、ノイズなどで外界の状況が異なると聴覚系が作り出す音が、空気の振動周波数とは別に変化してしまうことであった。 本年度は、状況に依存して知覚の形式が変わるということはどういうことか、外界の状況だけでなく学習の履歴によって知覚の形式はどのように変わるのかに注目して研究を進めた。 置かれた状況=コンテキストに注目して学習について検討したG・ベイトソンの理論と、情動的身体反応が何かを決断する際にバイアスとして働いていると主張しているA・ダマシオの理論を見なおし、両者の理論を修正し一般化した。その結果、受け取ったメッセージがどのような意味を持つのかを判断する基準になるコンテキスト・マーカーはベイトソンの言うようなコンテキストレベルのメッセージではなく情動反応を通じて創発するものであること、情動反応はダマシオの言うようなバイアスとしてではなくコンテキストを捉えるものであることを見出し、学習の理論の基礎付けをすることができた。合わせて統合失調症の理由を解き明かしたベイトソンのダブルバインド理論を修正して一般化を行い、様々な精神疾患の原因ともなるハラスメントの理論に到達した。 複雑系研究において創発現象についての関心は高い。ところが創発自体と創発を前提とする学習を停止させる機構についての研究は行われてこなかった。本研究ではハラスメントが学習の停止を導くものであるという見地から理論化を行った。このことにより、創発を伴う生命現象への研究が進展することが期待できる上、様々な日常的/社会的現象に対して科学的なアプローチをすることが可能となった。
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