研究概要 |
1.カルバゾール代謝におけるPseudomonas putida KT2440(pCAR1)株のトランスクリプトームの変化カルバゾール代謝オペロンの制御遺伝子研訳はカルバゾール生育時に発現誘導され、RpoN依存性プロモーターから転写が促進されることが明らかになった。一般にRpoN依存性プロモーターの転写活性化にはアクチベーターが必須であることから、宿主染色体にantRプロモーター特異的アクチベーターをコードされていることがカルバゾール代謝において重要であることが示唆された。 2.pCAR1の保持によるKT2440株のトランスクリプトームの変化 pCAR1を保持することにより転写活性化される染色体上の機能未知遺伝子PP3700(parl)はプラスミドの能動的分配に関与するparAと相同性を示す。マイクロアレイ解析により、pCAR1上のparABオペロンの転写を正に制御するMvaTファミリー転写制御因子Pmrの遺伝子破壊株においてparIが顕著に発現抑制されることが明らかになった。さらに、parIプロモーターがpCAR1のParAによって転写活性化されることが示された。 3.異なる宿主間でpCAR1トランスクリプトームの比較解析 pCAR1の全塩基配列199,035bpをプローブ長25塩基、9塩基密度で網羅するタイリングアレイを用いて、KT2440(pCAR1)株およびP.resinovorans CA10株におけるpCAR1トランスクリプトームを比較した。何れの宿主においても全DNA領域に渡って極めて類似した転写パターンを示したことから、pCAR1由来の全転写産物を特異的に検出することに成功した。一方で、宿主の違いによって転写量が1有意に変動した複数の機能未知オペロンが見出され、宿主特異的な制御機構の存在が示唆された。
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