研究課題
特別研究員奨励費
本年度は、in vivoの腸炎においてもCPI-17の発現低下が運動機能障害に関与するのかを明らかにするため、TNBS誘発回腸炎モデルマウスを用いて解析を実施した。さらに、IL-1βならびにTNF-αとCPI-17の関係について詳細に検討するために、IL-1αβKOマウスとTNF-αKOマウスを用いて回腸組織培養標本による解析を行った。結果、以下の様な成績を得た。1)急性腸炎モデルであるTNBS誘発1賜炎において収縮力とCPI-17発現量の低下が認められた。2)IL-1αβKOマウスの回腸平滑筋組織にTNF-αを処置すると、収縮力およびCPI-17発現量が低下したのに対して、TNF-αKOマウスの回腸平滑筋組織にIL-1βを処置しても影響が無かった。3)TNBS誘発腸炎により、TNF-αKOマウスではCPI-17発現が変化しなかったのに対して、IL-1αβKOマウスと野生型マウスでは顕著なCPI-17発現量の低下が観察された。以上の成績から、in vivoの急性腸炎においてもCPI-17が運動機能障害に関与し、さらにTNF-αがCPI-17発現抑制に必須であり、IL-1βはTNF-αを介してこの経路に関与することが示唆された。さらに慢性腸炎でのCPI-17発現低下の有無について検討するために、IL-10KO大腸炎モデル用いて解析を行った。結果、慢性腸炎モデルにおいても顕著なCPI-17の発現低下と受容体刺激による収縮抑制が認められた。本研究により腸炎疾患における消化管運動機能障害の分子機序のひとつとしてCPI-17発現低下によるミオシンのリン酸化低下があげられることを実証することが出来た。
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Inflammopharmacology 13
ページ: 103-111