研究概要 |
顆粒層細胞株を用いてブタcFLIPの抗アポトーシス活性を証明し、昨年度Molecular Reproduction and Development誌に投稿していた論文が採択決定となった。さらに、ヒト顆粒層細胞株を用いてcFLIPのアポトーシス抑制作用とcaspase-8活性化阻害作用を示した論文を投稿予定である。 アポトーシス誘導性転写因子・FOXO3aのノックアウトマウスが卵胞退行異常によって不妊となるとの報告があることから、ブタ卵巣におけるFOXO3aの働きを明らかにするための実験を行った。初めにブタ卵巣におけるFOXO3aの発現を検討したところ、退行初期卵胞の顆粒層細胞においてFOXO3aタンパクの発現量が上昇していた。FOXO3aのアポトーシス誘導作用が示唆されたため、顆粒層細胞株にてFOXO3aを過剰発現させたところ、細胞死が誘導された。また、ブタFOXO3aのmRNA配列についてこれまでに報告がなかったことから、5'-RACE,3'-RACE法によってブタFOXO3a mRNA配列を決定し、GenBankに登録した。ブタ顆粒層細胞においてFoXO3aとcFLIPが逆の発現パターンを示すことから、FOXO3aとcFLIPの相互作用を顆粒層細胞にて調べたところ、cFLIPの過剰発現によってFOXO3aの発現量が減少することがわかった。この結果より、cFLIPが生体中で支配的に卵胞退行を制御する因子であることが示唆された。さらに、顆粒層細胞株を用いて、FOXO3aの過剰発現がFasL.,TRAIL,Bim等のアポトーシス誘導因子に与える影響を示した。以上の結果を論文にまとめて投稿する予定である。
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