研究課題/領域番号 |
05J11823
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
数理物理・物性基礎
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平原 徹 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2006年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | シリコン表面 / 超薄膜 / スピン角度分解光電子分光 / スピン・軌道相互作用 / Rashba効果 / 表面状態電気伝導 / 角度分解光電子分光 / 二次元自由電子ガス / ホール効果 / 量子サイズ効果 |
研究概要 |
1.ビスマス超薄膜の表面状態のスピン分裂の直接観測 昨年度はシリコン表面上ビスマス(Bi)超薄膜の高分解能光電子分光測定を行い、その電子状態に関する予備的実験を行った。そして理論計算との比較でビスマスの表面状態バンドが強いスピン軌道相互作用と反転対称性の破れのためRashba型のスピン軌道分裂をしているということが示唆された。本年度は上記の事実を実験的に確認するために広島大学においてBi超薄膜の電子状態のスピン角度分解光電子分光測定を行った。その結果、確かに表面状態バンドが波数空間でスピン分裂していることを直接観測した。理論の予言通り、表面状態のスピン構造はΓ点に対して反対称性を示し、スピン偏極率としては最大で0.5という値が得られた。 2.ビスマス超薄膜の表面状態電気伝導 これまでの研究でバルクBiは半金属であり電気伝導度が低いが、表面状態は非常によい二次元金属になっていた。つまり輸送特性においても表面状態が大きな寄与を果たしていることが予想される。そこで当研究室の表面敏感なマイクロ4端子電気伝導測定装置を用いて室温下でBi超薄膜の電気伝導度の膜厚依存を測定した。その結果、非常に薄い膜厚(6-10BL)においては表面状態が確かに支配的であるが、膜厚増加とともにバルク(膜内部)の寄与が大きくなることが分かった。この方法で見積もられた表面状態電気伝導度は表面に酸素を暴露して表面状態を壊したときの電気伝導減少分から推定される値とよい一致を示した。さらに詳細なフェルミ面、バンド構造を分かっているのでボルツマン方程式を用いて電気伝導度が計算でき、その解析からも得られたBiの表面状態電気伝導度が妥当であるということが確認できた。そして低膜厚で表面状態電気伝導度の温度依存性を調べたところ300Kから10Kまで金属的な振る舞いを示し、過去に報告されたCDW転移は起こらなかった。
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