研究概要 |
昨年度実施した、各大学が発行する自己点検評価報告書の分析結果を踏まえ、本年度は全国1,871学部を対象とした質問紙調査を実施し、その結果を分析することにより、主として次の3点を明らかにした。 (1)自己評価方法の採用実態:自律型、応需型、標準化型、成果準拠型という4つの評価方法を設定し、それぞれがどの程度採用されているかを明らかにした。最も広く使われているのは自律型で、評価領域を問わず8割以上の学部が採用していた。これに対し成果準拠型を利用している事例は限られており、成果を根拠として活動の是非を問うという発想は、学士課程教育を対象とした自己評価においては未成熟であることが示された。 (2)評価方法採否の規定要因:上記の評価方法の採否がどの様な条件に規定されているかを知るため、ロジスティック回帰分析を行った。結果として、標準化型アプローチは国公立大学で、また成果準拠型の評価方法は卒業生の進路として具体的な職業を想定している学部で、採用されている確率が高くなること等がわかった。 (3)自己評価の効果の規定要因:教育の改善傾向の有無を従属変数としてロジスティック回帰分析を行い、自己評価の効果の規定要因を検証した。改善傾向が認められる確率を高める条件は、評価の領域や学部の属性によって異なることが実証されると共に、(1)との関連から、有効な評価方法が必ずしも広く採用されているわけではないことも明らかとなった。
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