研究概要 |
立命館大学放射光生命科学研究センター所有の卓上型シンクロトロン加速器「みらくる-6X」において、蛍光X線ホログラフィー用ビームラインの起ち上げ作業に従事した。蛍光X線ホログラフィーを行なう為には、100,000[cps]以上の蛍光強度が必要となる。しかし、現在の「みらくる-6X」ではそこまでの蛍光強度は得られていない。そこで、蛍光強度増強の為に、入射X線強度を増強する事を計画し、X線源発生用ターゲット支持材の開発を行なった。 これまでの「みらくる-6X」はX線源用ターゲットをマイラーで支持していた。しかし、マイラーでは熱負荷に対する耐性が弱い。この為、シンクロトロンへ電子を供給するマイクロトロンの電流値を上げると、支持材のマイラーが焼切れるという事態が発生し、公証値通りのX線強度が得られていなかった。そこでより熱負荷への耐性の強い、厚さが数10[nm]オーダの炭素薄膜を支持材として使用すべく、高エネルギー加速器研究機構で薄膜の開発を行なっている。作成方法はアーク放電蒸着法で行なっており、現在、数100[nm]オーダの薄膜では市販の炭素薄膜に比べると長寿命の物が作成できているが、再現性が非常に悪く、歩留まりの良い物が作れていない。具体的にはアニーリング後の薄膜にピンホールが生じる問題があり、先ずはピンホール問題改善に取り組んでいる。 ピンホール問題以外にも、薄膜作成基盤からの剥離方法やX線源ターゲットの取り付け方法等、多くの克服しなくてはならない問題がある。
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