研究分担者 |
OKUBO P.G. ハワイ火山観測所, 研究員
MCNUTT Steph アラスカ大学, 教授
CHRISTENSEN ダクラス アラスカ大学, 教授
DAWSON Phil 米国地質調査所, 研究員
DIETEL Chris 米国地質調査所, 研究員
CHOUET Berna 米国地質調査所, 研究員
藤田 英輔 科学技術庁防災科学研究所, 地震予知研究センター, 研究員
行田 紀也 東京大学, 地震研究所, 助手 (00153263)
西村 裕一 北海道大学, 理学部, 助手 (20208226)
清水 洋 九州大学, 理学部, 助教授 (50178985)
及川 純 東京大学, 地震研究所, 助手 (40262084)
山岡 耕春 名古屋大学, 理学部, 助教授 (70183118)
深尾 良夫 東京大学, 地震研究所, 教授 (10022708)
BERNARD A. Chouet U.S.Geological survey
STEPHEN R. M Univ. of Alaska, Research P
PAUL G. Okub Hawaiian Volcano Observatory, Research G
CHRIS Dietel U. S. Geolog. Survey, Operationa
BERNARD A. C U. S. Geolog. Survey, Geophysici
|
研究概要 |
1.平成6年度 ハワイ島キラウエア火山およびプ-オ-火口付近で発生する火山性地震・微動の発生状況の把握および次年度の総合観測の立案を行った.現地では,米国地質調査所のハワイ火山観測所によって設置されている定常観測網や広帯域地震計観測網による観測資料を調査し,火山性地震・微動の発生状況等を把握した.キラウエア火山では,表面現象としては静かな状態が続いているが,山頂のカルデラ及び周辺地域においては,深さ0-5kmのいわゆる低周波地震が現在でも発生していること,そして,火山の活動度によっては地下浅部で火山性微動が発生することが確認された.また,近年に溶岩流を出したプ-オ-火口周辺において臨時観測を行ない,現在でも微弱な火山性微動が発生していることが確認された.これらの調査結果をふまえ,観測候補地をキラウエア山頂カルデラ周辺地域及びプ-オ-火口周辺とし,以下の観測計画を立案した.キラウエア山頂のカルデラ周辺地域では,深さが0〜5kmの低周波地震および地表浅部で発生する火山性微動の観測を目標とし,カルデラを中心とするいくつかの同心円状の高密度地震計アレイによる観測網を設置し,本研究組織のメンバーらによって開発された解析法を応用して地震・微動の放射パターンなどから微動・地震の発生機構を明らかにすることを目標とする.また,プ-オ-火口周辺地域では,地形の特徴から,アンテナ状の観測網を設置し,マグマの流れに伴うと考えられる浅部火山性微動を観測し,その発生機構を明らかにする目標とする.本観測では,火山の活動状況により観測地域を選ぶこととした.地震計に関しては,ハワイ火山観測所の定常観測網でとらえられている低周波地震,微動の波形より,日本側,米国側が多数保有している固有周期2Hzの速度型地震計を用いることが出来ることが確認された. 2.平成7年度 平成6年度の現地調査の結果に基づき,また,キラウエア火山の状態を考慮した結果,キラウエア火山の山頂カルデラ付近において本格的な集中観測を行った.観測期間は,1996年1月8日-2月10日である. キラウエア火山の山頂カルデラ直下には,深さ約5km以浅で発生する低周波地震などの地震活動域が存在することがわかっているが,これを中心とした地域に地震観測網を設置した.地震計は,日本側および米国側が保有している固有周期2Hzの地震計を用いた.データ記録装置に関しては,約120点におよぶ高密度観測網設置のため,日本側保有の小型軽量データロガーを用いた.観測網は,大きく分けて3種類の観測網を設置した:(Aアレイ)低周波地震,火山性微動及び雑微動の波の性質の解析,地盤構造の推定のため設置した半径150m半円形小アレイ,(Bアレイ)地震波の距離依存性を調べ,火山性地震・微動の発生源において発生する地震動を推定するため設置した,観測点間隔30m,全長1.5kmの直線アレイ,(Cアレイ)地震波の放射パターンの特定,震源の正確な決定,振動の発生メカニズムの推定のため設置した半径約5kmの同心円アレイ.観測は二段階に分けられた.第一段階は,全観測点を設置すると共に,発生する火山性地震・微動の活動状況の把握,波形の種類の分類のため,9.5時間の連続観測を2回行った.また,第二段階は,波形解析,地殻構造解析を目標にした波形データ数の確保のため,10日間のトリガー収録による観測を行った.連続観測では,目的とする低周波地震を数個とらえることができた.これは,ほぼ全観測点で収録することが出来,これらを解析することで,低周波地震の発生機構の理解が飛躍的に深まることが期待されている.また,トリガー観測では,数個の低周波地震と共に,小規模のガスの噴出と思われる孤立型微動をとらえることができた.さらに,1996年2月1日には,カルデラ直下にマグマが上昇してきたためと思われる群発地震,連続微動が起こったが,これをCアレイの一部により観測することができた.以上より,キラウエア火山で発生する特徴的な火山性地震である低周波地震や微動を発生源を囲む稠密地震観測網でとらえることができ,観測の目的はほぼ達成できた.
|