研究分担者 |
KUVSHINOV Al ロシア科学アカデミー, 主任研究員
PANKRATOV Ol ロシア科学アカデミー, 主任研究員
ZHAO GuoーZu 国家地震局地質研究所, 教授
CHAVE Alan Woods Hole海洋研究所, 主任研究員
小賀 百樹 琉球大学, 理学部, 助教授 (50153515)
田中 良和 京都大学, 理学部, 助教授 (00025420)
湯元 清文 九州大学, 理学部, 教授 (20125686)
浜野 洋三 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90011709)
清水 久芳 東京大学, 地震研究所, COE非常勤研究員
上嶋 誠 東京大学, 地震研究所, 助手 (70242154)
佐藤 利典 東京大学, 地震研究所, 助手 (70222015)
笠原 順三 東京大学, 地震研究所, 教授 (70012953)
GUOーZU Zhao 国家地震局地質研究所, 教授
ALEXEY Kuvsh ロシア科学アカデミー, 主任研究員
ALAN Chave Woods Hole海洋研究所, 主任研究員
OREG Pankrat ロシア科学アカデミー, 主任研究員
VANYAN Leon ロシア科学アカデミー, 教授
MEDZHITOV R ロシア科学アカデミー, 教授
木下 肇 海洋科学技術センター, 深海研究部, 研究員 (10110347)
行武 毅 九州大学, 理学部, 教授 (90012898)
VANYAN L. ロシア科学アカデミー, 教授
MEDZHITOV R. 太平洋海洋研究所, 教授
CHAVE A. WoodsHole海洋研究所, 主任研究員
LARSEN J. NOAA海洋環境研究所, 研究員
HELSLEY C. ハワイ大学, 教授
BUTLER R. IRISオーシャンケーブル, 所長
竹松 正樹 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (50038535)
淡路 敏之 京都大学, 理学部, 助教授 (40159512)
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研究概要 |
過去約3年間にわたって電位差の観測を行ってきた.当初はグアム-二宮ケーブルのみであったが,米国などの研究者との協力によって観測網の整備をすすめ,太平洋地域に電位差観測ネットワークをほぼ完成することができた.また電位差データの解析に不可欠な磁場変動の情報を得るために,USGSグアム地磁気観測所・フィリピンのムンテンルパ地磁気観測所・台湾のルンピン観測所・ウラジオストックのポポフ島において地磁気観測点を設置した.観測される電位差変動には,さまざまな要因によるものが広い帯域にわたって重畳している.周期にして数時間までの変動は主として地磁気の変化による電磁誘導によるものである.本研究では,太平洋地域の海底ケーブルネットワークで得られた電位差変動データと地磁気変動データの解析を行い,同地域の上部マントルの電気伝導度構造を調べた.これまでに1次元および薄層近似による海陸分布の影響の評価などを行い,プレート下約150km以深さに0.1s/mの高電気伝導度層が存在することをなど,地下300〜500km程度の深さまでの平均的な電気伝導度構造モデルを得た. 短周期の電位差変化は地磁気変化によって誘導されたものであるので,距離のはなれた2本のケーブルの電位差が得られれば,逆に変動のもととなっている地磁気変化の空間分布の特徴を知ることができる.本研究の観測データと米国の研究者の観測(ハワイ-カリフォルニアケーブル)データとの比較を行った共同研究(Fujii et al.,1994)では,磁場変化の緯度・経度依存性が地方時に依存して変化する様子など,従来の地磁気変化のみでは知られなかった結果を得た.また,ウッズホール海洋研究所との共同研究により,気圧配置あるいはそれによって発生する風による海水の流れが原因となる電位差のモデル化をに着手した.このような理論を確立することにより,気象学や海洋学上の貢献が期待されるほか,われわれの目的とする10年以上の長周期電位差変動を検出するためのノイズ除去という点でも有効な手法となる.数時間よりも長い周期帯には,潮汐流や海流変動による電位変動が含まれている.これは,導体である海水の流れが地球磁場の磁力線を切ることによって生じる起電力である.ケーブル電位変動は,ケーブルを横切る全流量に比例することが知られている.このような変動の研究には比較的短い距離のケーブルを使用することが望ましい.そこで,東シナ海黒潮流入域における海潮流のモニタリングを目的とし,沖縄-台湾間のケーブルを利用し地電位差を測定を行った.このケーブルはまだ運用中であり沖縄と台湾の両側から給電圧がかけられている.潮海流のモニターに必要な地電位差情報には両側からの給電圧変動の測定が必要であり,1995年4月より両側計測が実現し現在も共同観測が継続中である.観測期間はまだ長くないが,潮汐変動および短期の黒潮変動について資料といくつかの知見が得られた地球磁場は外核におけるダイナモ作用によって発生していると考えられている.これまで,ダイナモ作用に関する情報は地磁気観測のみによって得られてきた.本研究では,内部起源変動の電磁誘導の理論計算から,電位差の変化には地磁気観測では見ることのできない核-マントル境界におけるトロイダル磁場(半径方向の成分を持たない磁場)に関する情報が含まれていることを示した.しかしながら,10年以上の長周期の情報を必要とする(それ以下の周期の情報は減衰してしまう)ことから,長期間にわたって安定な観測を行う必要がある.通常の陸上で行う電位差観測の方式では,とてもそのような安定性は望めない.海底ケーブルはダイナモ作用に関係した電位差変化を観測するための唯一の方法であることを示した.さらに,地球磁場から核内の情報を得るためには,世界中の数十点の地磁気観測所のデータを必要とするように,地球電位差もネットワーク観測を行うことにより,トロイダル磁場の大きさや形に関する情報を検出できる可能性を指摘した.
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