研究課題/領域番号 |
06041026
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
兼岡 一郎 東京大学, 地震研究所, 教授 (30011745)
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研究分担者 |
及川 純 東京大学, 地震研究所, 助手 (40262084)
安田 敦 東京大学, 地震研究所, 助手 (70222354)
宇都 浩三 地質調査所, 地殻化学部, 主任研究官
山岡 耕春 名古屋大学, 理学部, 助教授 (70183118)
能田 成 京都産業大学, 教養部, 教授 (30065841)
巽 好幸 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (40171722)
小屋口 剛博 東京大学, 地震研究所, 助教授 (80178384)
中田 節也 東京大学, 地震研究所, 助教授 (60128056)
藤井 敏嗣 東京大学, 地震研究所, 教授 (00092320)
井田 喜明 東京大学, 地震研究所, 教授 (30013535)
金子 隆之 東京大学, 地震研究所, 助手 (90221887)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
17,100千円 (直接経費: 17,100千円)
1995年度: 10,500千円 (直接経費: 10,500千円)
1994年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
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キーワード | レユニオン島 / モ-リシャス島 / ロドリゲス島 / ホット・スポット / ピトン・ド・ラ・フルネ-ズ / ピトン・ド・ネージュ / 火山活動 / インド洋 / 火山 / ピトン・ド・ラ・フルネ-ズ火山 / ピトン・ド・ネージュ火山 / 火山岩 / 超塩基性捕獲岩 / かんらん石斑晶 |
研究概要 |
平成6年度及び7年度を通じての研究実績の概要は以下の通りである。 1.平成6年度における予備調査においては、IPGP(パリ地球物理学研究所)及びその管轄下にあるレユニオン島のピトン・ド・ラ・フルネ-ズ火山観測所の研究者らからレユニオン島の火山に関する多くの情報を得た後に現地調査を行った。また火山島の全体的地形を把握するために、ヘリコプターによる目視観察を行った。その結果、本研究に必要な超塩基性捕獲岩や径1mmを越えるかんらん石斑晶を含む玄武岩の産出場所についての情報が得られ、限られた日程内で効率の良い岩石試料採取が可能となった。またヘリコプターからの観察は、火山体の侵食状況や岩石試料採取のためのルートの確認に非常に有効であった。平成6年度、7年度の調査を通じて、レユニオン、モ-リシャス、ロドリゲス各島の時間及び空間的な火山活動の状態を推定するために必要な岩石試料を、ほぼ計画通りに採取することが出来た。 2.平成7年度は、レユニオン島、モ-リシャス島に加えて、同じマスカーレン諸島の一つとされているロドリゲス島における調査、岩石採取を行った。その結果、この島の東部と西部では地質構造がやや異なり、火山活動の中心が西部から東部に移動した形跡のあることが明らかになった。岩脈は北東南西方向が卓越していた。溶岩は斜長石や角閃石斑晶に富み、同じ構成物質からなる斑れい岩捕獲岩が所々で能集していた。角閃石斑晶は溶融を受けており、地下に存在すると予想される斑れい岩質沈積岩に由来したものと予想される。この沈積岩は、現在のロドリゲス火山の前に低い部分溶融の程度で生じたアルカリ玄武岩から沈積したものと考えられるので、その起源はホット・スポットないし海嶺がら離れた部分における火山活動と関連したものである。 3.IPGPの研究者らと行った火山物理学的研究では、最近約5年間にレユニオン島で起きたやや遠地の地震から火口直下で発生した地震の波を用いてコーダQの解析を行った。コーダQによって現在まで得られた結果として、全体的なコーダQの周波数依存性があることが明らかになっている。ピトン・ド・ラ・フルネ-ズ火山周辺のコーダQは、島弧や衝突帯などの活動地域の値と一致していることが分かった。カルデラの中と外とで系統的に異なった値が得られた地震もあった。またピトン・ド・ラ・フルネ-ズ火山と伊豆大島、三宅島、富士山などの火山の比較研究の一つとして、噴火の時系列解析を行った。噴火の発生時期の集中度を現すクラスター一次元と、噴火の発生要因の自由度と関係するアトラクター次元を求めた結果、クラスター次元に関しては伊豆大島、三宅島に比べてピトン・ド・ラ・フルネ-ズ火山や富士山は噴火時期に比較的偏りが少なく、より単純な過程で噴火のリズムが決まっているということが明らかになった。 4.採取した各島の岩石についてはそれぞれ顕微鏡観察用の薄片を作成し、現在、構成鉱物、岩石組織の観察、化学・同位体組成分析、年代測定などを行っている。各島の岩石からかんらん石斑晶を取り出してEPMAで分析した予備的な結果は、分析した試料のすべてがMg#-FeO図ではきれいな直線上に並んだ。ロドリゲスの試料はMg#がやや低いところに分布しており、分化の過程が進行している。ピトン・ド・ラ・フルネ-ズ火山の試料は分化しているものから未分化のものまでの広い範囲を示した。一方でピトン・ド・ネージュ火山の試料は高いMg#を示し、比較的未分化であることを示している。K-Ar法による年代測定結果としてはレユニオン島及びモ-リシャス島の試料に対して数万年から数十万年の値が得られているが、これは各島の地域毎に異なることが予想され、現在更に測定を続けているところである。またSr、Nd、Pb、希ガスなどの同位体比測定のための予備的な分析を行っている。 5.本研究においては、平成7年度11月に採取した岩石が分析用の試料として主要な部分を占めているので、それらについての各データが揃った時点で全体的なモデルの構築が可能となる。
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