研究分担者 |
趙 みん 雲南省梁河県, 副知事
丁 俊 雲南省地質科学研究所, 所長
羅 君烈 雲南省地質鉱産局, 教授
孟 憲国 曁南大学, 生物工程系, 助教授
趙 鵬大 中国地質大学, 学長教授
佐藤 興平 工業技術院, 地質調査所, 主任研究官
高木 秀雄 早稲田大学, 教育学部, 助教授 (60154754)
小林 祥一 倉敷芸術科学大学, 産業科学技術学部, 助教授 (20109739)
板谷 徹丸 岡山理科大学, 自然科学研究所, 教授 (60148682)
金田 博彰 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (10092181)
ZHAO Min Lianghe County, Yunnan, Vice-director
DING Jun Yunnan Institute of Geological Sciences, Director
MENG Xianguo Jinan University, Assoc.Prof.
ZHAO Pengda China University of Geosciences, President and Prof.
莫 宣学 中国地質大学, 技師
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研究概要 |
中国雲南省のように,大縮尺の地形図が手に入らない地域での位置決めにGPSを利用するため,その精度を3地域で確かめた.対象とした地点あるいは地域は,(2)定点として,地形図から位置(緯度・経度)が最も性格に読みとれる東京大学工学部の建物,(2)日本国内における地質調査を念頭において,鹿児島県の菱刈鉱山周辺,および(3)地形図が入手できない中国雲南省である.定点における測定では,各測定値は真の位置から半径100mの円内に納まり,平均値は真の位置から30mしかずれていなかった.実際の野外で,GPSで決められた位置と地形図から読み取られた位置との偏差は,300m程度である.定点における測定に較べて誤差が大きいのは,地形図からの位置の読み取りにも誤差が含まれるためである.地形図が入手できない地域では,同一点において得られた複数の測定値の再現性で精度を評価した.4個の衛星が捕らえられて受信状態がよい場合は±100mの精度で,また受信状態が悪い場合は±300mの精度で測定値は再現さる.一方,3個の衛星しか補えられない場合の精度は±1000mである.これらの誤差の値から,地球科学データが通常の処理で地図に表示される場合,GPSは十分な精度の位置座標を与えると結論できる. 世界における鉱物資源の存在量等を予測するためには,各鉱種について品位-鉱量関係を求め,それから得られるモデルが利用される.ところで,中国の雲南省というように,ある限られた地域にこの品位-鉱量関係を適用すると,同一の鉱種に属する鉱床の数が少ないため,統計処理上,特異なデータの存在が,その結果に大きく影響を与える.そこで,複数の鉱種をまとめて利用できるように,鉱石価値-鉱量モデルを作成し,その有効性を検討した.その結果,W+MoとPb+Zn鉱床の鉱石価値-鉱量関係はよい直線性を示した.また,塊状硫化物,正マグマ成,漂砂,斑岩,交代,層準規制型鉱床もよい直線性を示した.したがって,これらの鉱床は1つの母集団に属するとして,統計的処理ができる.これに対して,解析に利用したすべての鉱床をまとめた場合は,2つの指数関数の組合せで近似される.同様の傾向は,Cu+W+Mo,Cu+Pb+Zn,Au+Ag鉱床,および鉱脈型と不整合関連型の鉱床で見られた.したがって,これらの鉱種あるいは鉱床型の鉱床は高価値グループと低価値グループに分けられる. 中国の金資源について,品位-鉱量の関係を調べた.全体としてみると,30ppm以上の高品位鉱床,30-3ppmの中品位鉱床,3ppm以下の低品位鉱床に分けられる.高品位鉱床の対数累積鉱量は品位が低下してもほとんど増加しない.一方,中品位鉱床では,品位の低下とともに,対数累積鉱量は直線的に増加する.さらに,低品位鉱床では,鉱量の急激な増加が見られる.全資料の65%を占める初生鉱床の品位-鉱量関係は,2つの指数関数の組み合わせで説明できる.このモデルにもとづく推定鉱量と実際の鉱量との相関係数は0.990である.砂鉱床も2つの指数関数の組み合わせで説明でき,そのときの相関係数は0.986である.なお,高品位鉱床と低品位鉱床の境は1ppmである.初生鉱床および砂鉱床を近似する4つの指数関数を組み合わせると,実際の鉱量と近似計算され得た鉱量の相関係数は0.994である.初生鉱床のうち18%が産出する金は,副産物である.したがって,それらは金品位は低いが鉱量が大きい.これと低品位の砂鉱床が全鉱床の品位-鉱量図における低品位部の急傾斜の原因である. 雲南省の鉱床については,収集した資料のデータベース化を進めている.このデータベース化が終了したら,前述の鉱石価値-鉱量モデルをこの地域に適用して,この地域の資源量の予測作業を行う予定である.
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