アジア諸国における高安動脈炎の比較研究

• 研究課題/領域番号: 06041032
• 研究種目: 国際学術研究
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 学術調査
• 研究機関: 東京医科歯科大学
• 研究代表者: 沼野 藤夫 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (40013958)
• 研究分担者: GRANDOS Juli 国立循環器研究所, 助教授 ; PARK Y.B ソウル大学, 医学部, 助教授 ; HOFFMAN Gray クリーブランドクリニック(オハイオ州立大学), 教授 ; REYESーLOPEZ ペドロエー 国立循環器研究所(メキシコ), 教授 ; ROSENTHAL Ta カイム, シバ・メディカルセンター・医学部, 教授 ; ARNETT Frank メディカルスクール, 医学部, 教授 ; MECHRA N.K. 全インド医科学, 研究所, 教授 ; SHARMA B.K. チャディングラ大学, 研究所, 教授 ; PREEYACHIL C チュラロンコーン大学, 医学部, 助教授 ; SUWANWELA Ni チュラロンコーン大学, 医学部, 教授 ; 角田 恒和 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (30262190) ; 能勢 真人 東北大学, 医学部, 助教授 (70030913) ; 松原 修 防衛医科大学校, 医学部, 教授 (40107248) ; 木村 彰方 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60161551) ; 長沢 俊彦 杏林大学, 医学部, 教授 (00086505) ; 西村 泰治 熊本大学, 医学部, 教授 (10156119) ; CHARAOENWONGSE P. Chulalongkorn University, Associate Prof. ; REYES-ROPEZ P.A. Instituto Nacional de Cardiologia, Prof. ; GRANDOSE J. Instituto Nacional de Cardiologia, Associate Prof. ; PEDRO A Reye 国立循環器研究所(メキシコ), 教授 ; FRANK C Arne メディカルスクール, 医学部, 教授 ; YACOV Itzcha カイム, シバ・メディカルセンター・医学部, 教授 ; N.K Mehra 全インド医科学研究所, 教授 ; B.K Sharma チャディングラ大学, 研究所, 教授 ; NITAYA Suwan チュラロンコーン大学, 医学部, 教授 ; Y.B Park ソウル大学, 医学部, 助教授
• 研究期間 (年度): 1994 – 1995
• 研究課題ステータス: 完了 (1995年度)
• 配分額: 17,300千円 (直接経費: 17,300千円); 1995年度: 8,400千円 (直接経費: 8,400千円); 1994年度: 8,900千円 (直接経費: 8,900千円)
• キーワード: 高安動脈炎 / HLA B52 / HLA B39 / 高安動脈炎の血管造影新分類 / 大動脈弁閉鎖不全症 / 脈なし / 高血圧 / 遺伝要因 / HLAタイピング

研究概要

高安動脈炎は非特異性血管炎であり、その成因は不明で、我国では難病の1つに指定されている。長年の研究の結果、この血管炎の発生に自己免疫機序の関与が示唆されるが、まだ十分解明されるまでには至っていない。本症は、臨床的にもいくつかの特徴が明らかにされており、(1)若年女性に多発し、(2)アジア諸国に多く、欧米に少ない種属差が知られている。我々は、本症の成因に遺伝要因の関与を想定し、現在までにHLA A24-B52-DR2のhaplotypeが本症患者に有意に高い頻度で出現していることを確認し、この事実がアジア諸国に多発する本症の謎と解きあかす鍵と考えられた。なぜならばB52の高い出現頻度を示しアジア諸国、アメリカインディアン、南米と本症の多発地域とが一致するからである。その後の検索で南米、韓国、インド等に於いても、本症患者にB-5 or B-52が有意に高い頻度を示すことが明らかにされてきている。そこで本症の病態につき国際研究を開始したが、この国際比較に於いていくつかの新しい事態が明らかにされた。その1つは、各国によって男女比が異なることである。我国では、女性が圧倒的に多い事実に対して西方にゆくに従って、その比率が減少し、イスラエル、トルコでほぼ6:4の割合までにゆくことである。もう1つは種属によりその臨床病態が異なり、我国では上行大動脈より大動脈弓部にかけての病変が多いのに対し、インド、タイ、南米(メキシコ、ペル-)ではむしろ腹部大動脈に病変が多いという差が明らかにされた。特にインド等では腹部大動脈に限局した患者もかなり認められた。このことから病態の分類に腹部大動脈の病変のみを含めた新しい体系を国際間で取り決め、この新分類に従った患者の実態を目下明らかにしつつある。
このことはHLAの研究に於いても新たな展開を開かしめた。我々の研究に於いてHLA B-39の存在が健康日本人に比し有意に高い統計上の成績が得られたが、実数はわずか10名に満たぬ程であった為に放置しておいたが、そのDNAレベルの研究から、本症患者にのみ認められるB-39-2という新しいタイプの存在が発見された。そしてこのB-39は南米や東南アジア諸国に於いてはB-52より高い出現頻度を示しており、B-39と連鎖不平衡を示す遺伝要因が改めて注目されるようになっている。目下、各国に於いてB-39の出現頻度とその臨床病態との比較が新たなテーマとして取り上げられ、目下検討が成されつつある。このDNAレベルの解析は、各国より送ってもらった血液にて当大学で目下行いつつある。

研究成果

• [文献書誌] Hahimoto Y,Tanaka M,Hata A,Kakuta T,Maruyama Y,Numao F.: "Four years follow-up study in patients with Takayasu arteritis and severe aortic regurgitation ; assessment by echocardiography" Inter.J.of Cardiology,1996. (in press).
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Hata A,Noda M,Moriwaki R, Numano F: "Angiographic findings of Takayasu arteritis New Classification" Int.J.of Cardiology,1996. (in press).
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Hata A,Numano F: "Magnetic Resonance of Vascular Changes in Takayasu Arteritis" Int.J.of.Cardiology. 52. 45-52 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Yajima M,Numano F.: "Comparative Studies of patients with Takayasu arteritis in Japan,Korea and India" Jpn.Circ.J. 58. 9-14 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 沼野藤夫,宮田達也: "大動脈炎症候群" 循環器疾患 最新の治療. 96-97 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 畑 明宏,沼野藤夫: "高安動脈炎" 別冊 医学の歩み-State of arts. 709-712 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 小林 靖,吉田雅幸,丸山義明,宮田達也,沼野藤夫: "大動脈炎症候群" 臨床DNA診断法. 601-603 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 沼野 藤夫: "高安動脈炎" 治療. 78. 478-481 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 沼野 藤夫: "高安動脈炎" 臨床医. 20. 842-844 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 小林 靖,沼野藤夫: "高安動脈炎とHLA遺伝子異常" Cardiac Practice. 4. 432-436 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Hashimoto Y,Tanaka M,Hata A,Kakuta T,Maruyama Y,Numano F: "Four years follow-up study in patients with Takayasu arteritis and severe aortic regurgitation ; assessment by echocardiography" Int.J.of Cardiology. (in press). (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Hata A,Noda A,Moriwaki R,Numano F: "Angiographic findings of Takayasu arteritis new classification" Int.J.of Cardiology. (in press). (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Hata, A,Numano F: "Magnetic Resonance of Vascular Change in Takayasu arteritis" Int.J.of Cardiology. 52. 45-52 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Yajima M,Numano: "Comparative Studies of patients with Takayasu arteritis in Japan, Korea and India" Jpn.Cir.J. 58. 9-14 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] 沼野藤夫: "高安動脈炎(大動脈炎症候群)" 臨床DNA診断法. INPREES.
• [文献書誌] 沼野藤夫: "高安動脈炎" 臨床医. 20. 842-844 (1994)
• [文献書誌] A.Hata & F.Numano: "Magnetic Resonance of Vascular Changes in Takayasu Arteritis" International J.Cardiology. INPRESS.
• [文献書誌] M.Yajima & F.Numano: "Comparative Studies of patients with Takayasu Arteritis in Japan,Korea & India" 58. 9-14 (1994)
• [文献書誌] 小林 靖、沼野藤夫: "高安動脈炎とHLA遺伝子異常" Cardiac Practice. 4. 432-436 (1994)
• [文献書誌] 沼野藤夫: "高安動脈炎" 厚生省血管炎調査研究班公開シンポジューム. 45-52 (1995)