研究課題/領域番号 |
06041035
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
川田 順造 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (50107835)
|
研究分担者 |
KABORE Oger ワカドゥグ国立科学技術研究センター, 研究員
GARBA Mahama ニジェール音楽養成促進センター, 所長
NKETIA Kwabe ガーナ大学, アフリカ音楽舞踊センター, 所長
鈴木 裕之 国士舘大学, 法学部, 講師 (20276447)
真島 一郎 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助手 (10251563)
中村 雄祐 東京大学, 教養学部, 講師 (60237443)
鷹木 恵子 桜美林大学, 国際学部, 助教授 (60211330)
堀内 正樹 広島市立大学, 国際学部, 助教授 (10209281)
塚田 健一 広島市立大学, 国際学部, 教授 (00227365)
OGER Kabore ウカドゥグ国立科学技術研究センター, 研究員
MAHAMAN Garb ニジェール, 音楽養成促進センター, 顧問
KAWABENA Nke ガーナ大学, アフリカ音楽舞踊センター, 所長
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
17,000千円 (直接経費: 17,000千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1995年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
1994年度: 7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
|
キーワード | 音文化 / アフリカ / 音のコミュニケーション / 口頭伝承 / 文化内的理解 / 対象国への成果還元 / 文化人類学 / 音楽人類学 / 音文化複合 / ハウサとマンデ / 記譜法 / 聞きなし / ベルベル / ス-フィー教団 / アビジャン / 都市の音楽 / 儀礼音楽 / マグレブ / サハラ以南アフリカ / 口承記譜法 / ラジオ放送 / 仮面儀礼 |
研究概要 |
本研究は、「音文化」という概念によって、従来「音楽」としてとらえられてきた領域の枠をはずし、音声言語、口頭伝承や太鼓言葉等器音によるメッセージの伝達を含む、音のコミュニケーションが形づくる文化を包括的にとらえ、それを政治・宗教をはじめとする社会活動全般の中に位置づけようとするものであり、対象地域であるアフリカ諸社会の、さまざまな「音文化」のあり方を、比較の視野で考察しようとするものである。 初年度には文化人類学、音楽人類学等を専攻する研究分担者がチュニジア、モロッコ、マリ、ニジェール、ブルキナファソ、コートディヴォアール、ガーナ、ザンビアにおける現地調査によって資料収集を行ない、またそれぞれの地元のアフリカ人研究者とも交流した。その結果を、数次の研究会で共同検討した。最終年度には、鈴木と真島が、それぞれの初年度の現地調査の結果明らかになった点を、共同検討ののちにさらに探究するために、短期間、6、7年度と同じ調査地に赴いて補足研究を行なった。 最終年度には、これらの初年度および第二年度の現地調査の成果と共同検討の結果をふまえて、研究対象国の公用語であるフランス語または英語で報告書にまとめる作業を行なった。各研究分担者が報告書にまとめたテーマは、次の通りである。(括弧内は対象国名) 1.川田順造「西アフリカにおける音文化の二つの複合:マンデ複合とハウサ複合」(マリ、ニジェール、ブルキナファソ、チュニジア、モロッコ) 2.堀内正樹「分節化と脱分節化のあいだ:ス-ス地方(モロッコ南部)のベルベル社会の音文化」(モロッコ) 3.鷹木恵子「スタンバーリ:その儀礼とその音文化」(チュニジア) 4.マハマン・ガルバ「ニジェールのハウサのグリオの社会的機能」(ニジェール) 5.オジェ・カボ-レ「モ-セの子どもの歌:村落社会における少女の一表現形態がもつ社会・文化的意味」(ブルキナファソ) 6.真島一郎「顔のない仮面の声:南部ダナネ地方のダン社会のマ-ニア」(コートディヴォアール) 7.鈴木裕之「都市放浪者感覚:レゲエが街路の文化と結合したとき...」(コートディヴォアール) 8.塚田健一「ザンビアのルヴァレ社会におけるドラミング、擬音語および音象徴」(ザンビア) これら8論文は、多様な切り口によってはいるが、いずれも、音のコミュニケーションをそれぞれの社会の中に位置づけて文化内的(emic)に理解しようとする視点において共通している。報告書をフランス語または英語で作成したのは、研究成果を対象国に還元するためと、対象国の人々を含む、この領域での世界の研究者にわれわれの研究成果を知ってもらい、国際学界に貢献するとともに、批判や教示を国際的に受けるためである。また、第二年度に現地で交流し、調査の過程で意見交換を行なった、国際学界でも知られる2人のアフリカ人研究者オジェ・カボレ(ブルキナファソ)とマハマン・ガルバ(ニジェール)(2人ともアフリカの音文化研究によってフランスの大学で博士号を取得している)が、報告書作成に参加したことも、この研究の対象社会であるアフリカの研究者との視点の相互性を明らかにする上できわめて有意義であった。 「音文化」という概念による音のコミュニケーションの把握は、世界の学界でも斬新な研究方法であるが、今回の研究でもそれぞれの報告に見るように、音のコニュニケーションの文化内的理解において重要な成果をあげることができた。この報告書の、アフリカの研究対象国をはじめ世界の関連研究者や研究機関への配布と、研究分担者の日本語、外国語での個別発表を通じて、その評価が明らかになるであろう。
|